肉には赤ワインだよね?という固定概念を覆す日本酒三銘柄

ステーキやスペアリブにも合うお酒選んでみました

2017.10.04

ローカルフード 日本酒

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海外では、ブームとして広がった和食がだんだんと定着してきているとか。

洋の東西を問わず料理を彩るパートナーといえば、やはりお酒。和食も当然、例外ではありません。

国内では消費が低迷し続けて苦戦気味の日本酒も、海外では逆に好調で右肩上がり。もちろん世界的にはワインに比べるとまだまだマイナーであるとはいえ、その魅力が知られはじめています。

日本酒はワインと同じ醸造酒と呼ばれる種類で、アルコール度数も似ています。なにしろ香りや味わいの幅がワインに勝るとも劣らないほど非常に多彩で繊細であり、酒の造り方や仕立て方によって、個性も全く変わってきます。

ですから、マリアージュ(一緒に楽しむ食べ物との相性、掛け合わせ)によって生まれるものはいつも、芸術的なアンサンブルのよう。しかもそれは、個性次第で時には弦楽奏のようであり、ブラスバンドのようでもあり、あるいはオーケストラにも変わり、ときには雅楽のようであったりもする。変幻自在で、無限の可能性を感じさせる広がりを持ちます。

それはつまり、食事に合わせやすい…という以上に、さまざまな食事と合わせることによって生まれる新しい表現を楽しめるとも言えるのです。

現代では日本人の食そのものが多様化しているのはもちろん、先程お話したように海外で日本酒を楽しむ人達も増えています。

そうなると昔ながらの和食以外との組み合わせで日本酒が使われる機会も当然増えますから、それぞれの場面を彩る日本酒の個性も、花が咲き乱れるかのように、色とりどりになってきました。

そこで今回ぜひ試して頂きたいのが、お肉料理に合う日本酒です。

お肉と言えば、赤ワイン…というのは確かに王道ですが、日本酒ではワインのタンニン感や渋味に頼らずとも、お肉の強い味わいやスパイスの香りに負けない力強い味わいを醸し出すことができるのです。

輝くアンガス牛のシルエット。ステーキに合う「YAMAHAI」とは…?

たとえば、新潟県の塩川酒造が手がけるお酒の名前は、その名もCOWBOY YAMAHAI」(カウボーイ山廃)。牛のシルエットが特徴的なラベルで、銘柄も英語で表記されています。一度見たら忘れられない秀逸なデザインですね。このお酒は酒造自らが、「アメリカンスピリットの象徴であるステーキに合う新しい日本酒」と銘打つ逸品で、なんでも「アメリカ発の日本酒」なのだとか。

『アメリカで酒類を取り扱うBeau Timken氏(アメリカで最初の地酒専門店であるTrue Sakeのオーナー)が名付け親。肉料理にも合う酒質であることとアメリカ市場を開拓するという意味合いを込めてCowboy Yamahaiと命名。ラベルにアメリカ食肉市場の40%のシェアを誇るとされるアンガス牛をシルエットとして用いることで、誰もが肉料理との相性の良さを連想できる仕様となっています。これまで日本酒の取扱いが少なかったステーキハウスなどを中心に新規市場で需要を広げています。』

酒造のホームページにもこのように書かれている他に、英語のページもきちんと用意されていて、積極的に海外への輸出も行っています。日本酒の可能性を広げるための「本気」が伝わってくるかのようですね。

なお、このお酒にも使われている「山廃」(やまはい)とは明治末期に開発されたお酒の醸造方法の1つです。簡単に説明すると、古来から行われてきた醸造過程から「山卸」(やまおろし)という工程のみを廃止し自然発酵でじっくりと醸していく手法で、現代の一般的な速醸系と呼ばれる醸造方法に比べて非常に手間と時間がかかる醸造方法といえます。

しかし、自然の力を借りてじっくりと造るこの方法で造られたお酒は、一般的な製法での酒に比べて酸味や重厚感のある、芯が通った強い味に育ちやすいのです。

この山廃由来の強めの酸味と柔らかい旨味を強調させることで、お肉の持つコクとお酒を、非常に良いバランスでマッチさせています。アツアツのステーキをワイルドに味わいながら、お酒も豪快に楽しんでみましょう。
◆塩川酒造(新潟県)

気分華やぐ、きらきらと煌めくような味わいをご一緒に。

もう一本オススメしたいのが、福島県福島市の金水晶酒造店金水晶純米大吟醸」。

お酒の漢字の「金」「水」「晶」をそれぞれモチーフにデザインされたお洒落なラベルのお酒で、パーティを飾る華にもなれるボトルです。

 

金水晶純米大吟醸とスペアリブとのペアリングは絶妙。

単独でも仄かな吟醸香が薫る、やや芳醇で美味しいお酒。しかし、このお酒がもっとも華やぐのは同じく芳醇な味わいを持つ食材とのマリアージュです。

このお酒は肉料理の強い味付けや旨味を受け止めるポテンシャルが非常に高く、合わせる食材の味や脂が強ければ強いほど味わいも輝きを増すかのような特徴があります。つまり、食材の旨味と絡み合うマリアージュによってお米本来の旨味がきらきらと煌めくような、心躍る味わいが引き出されていくのです。

なお、金水晶酒造は全国新酒観評会の金賞受賞常連蔵で、今年も金賞に輝いています。

焼き鳥などの日常的な晩酌のおつまみに合うのはもちろんのこと、たとえばA5ランクの霜降り銘柄牛や比内地鶏、川俣シャモ、フォアグラなどの強烈な旨味でさえも、更に引き立ててくれます。ぜひお試しになってみてください。
◆金水晶酒造店(福島県)

重ねた時間の深さに酔う。古酒ならではの楽しみ方を。

3本目にご紹介するのは、こちらも福島県の会津若松市末廣酒造長期熟成流転(るてん)。日本酒の古酒です。こちらは大吟醸古酒、本醸造古酒、純米酒古酒の3種類が用意されています。

あまり馴染みがないかも知れませんが、日本酒にも長期熟成を楽しむ古酒という楽しみ方があります。熟成によって色は金色~琥珀色へと変わっていき、ナッツ類やドライフルーツ、シナモン、バニラ、カラメルなどにも似た独特の強い熟成香と、濃縮された旨味が絡み合う飲み方で、常温でも楽しめます。

日本酒の古酒は、しばしば中国の紹興酒に似ているとも言われます。紹興酒はもともと、強い味を生かした中華料理に合わせられるお酒。その味わいに似ていると言われるほどですから、肉料理に合わない訳がありません。

今回ご紹介する末廣酒造は、古くは千円紙幣の肖像画にもされている野口英世博士と深い縁を持つ歴史ある酒造で、実は先程ご紹介した「山廃製法」が明治末期に日本で初めて行われた蔵でもあります。実力も確かで、こちらも全国新酒観評会金賞受賞の常連蔵です。以前新聞の特集で、「酒造見学に行って良かった蔵人気No1」になっていたことも。

福島県内の大手酒造メーカーでもあり、さまざまな味わいのお酒を世に送り出している末廣酒造では、うっすらとした古い蔵の奥の暗がりの中に古酒熟成用の貯蔵所があります。

ひんやりとした空間の中、静かに時間の流れを刻み続けてきたお酒たち。積み重ねられてきた深さならではの味わいを、お楽しみください。
◆末廣酒造(福島県)

日本酒の可能性は、まだまだ知られはじめたばかり。

今回は、お肉に合う日本酒ということで3種類をご紹介してみましたが、もちろん、これでも数ある中でのごく一部です。

日本酒のマリアージュの魅力は国内でさえもまだまだ深くは知られておりません。その一方で日本酒自身は、さまざまなシーンやバリエーションでのマリアージュやペアリングに応えられるような種類も年々増えてきています。楽しみ方の幅が、どんどん広がっているということですね。

ぜひ、お好きな料理にさまざまな日本酒を気軽に合わせて、その魅力をどこまで引き出せるか、自分の好みの組み合わせが見つけられるか、いろいろと試してみてくださいね。

こちらの記事もどうぞ。
→海外から学ぶ!インスタ映えするセクシーなワインの撮り方

林 智裕 (Hayashi Tomohiro)

フリーランスライター。1979年生まれ。いわき市出身、福島市育ち。 現在 【Media Rocket】の他、福島の美酒と美肴のマリアージュを毎月お届けする【fukunomo(ふくのも)】、地域の魅力やグルメ情報を発信する【福島TRIP】など複数メディアにて連載中。 また、【SYNODOS (シノドス)】【ダイヤモンドオンライン】【Wedge】【現代ビジネス】などでは不定期でビジネス向けの記事を執筆。 書籍『福島第一原発廃炉図鑑』(開沼博・編、太田出版)ではコラムの執筆を担当。

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