【検証】低温調理器ANOVAで豚肉・鶏肉料理の「下ごしらえ」をやってみた結果

焼く、揚げる、煮込むなど様々な調理法の下ごしらえを低温調理でやってみました

2018.01.10

低温調理

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■低温調理は肉料理の「下ごしらえ」に効力を発揮するのか?

低温調理器の最大のメリットは、一般的に難しいと言われる料理でも「失敗しない」そして「プロの味」に格上げ出来る点です。メディアロケットの記事でも、定番メニューのローストビーフを始め、火入れや温度管理が難しい料理にはめっぽう威力を発揮することは実証済です。

さらに料理法としての低温調理をマスターするため、今回は、ANOVAを調理法のメインとしてではなく、下ごしらえで使った場合の比較をしたいと思います。

今回の検証メニューは

1)豚肉の串焼(焼きとん)→焼く前に肉に火を通す

2)鶏の唐揚げ→揚げる前に肉に火を通す

この二つです。なぜこのメニューを選んだかといいますと、どちらもお肉のジューシーさと生焼けのせめぎ合いになりやすい料理だからです。
そこで、ANOVAで予め火を通してから焼くのであれば、失敗なく出来るのではないか?と閃きました。

最後におまけとして煮込み料理の定番メニュー「牛肉の赤ワイン煮」をANOVAで作れるか?を検証してみました。

■豚肉の串焼きの下ごしらえ(65.0℃、40分)

焼き鳥や焼きとんはただ焼くだけと調理法は至極シンプルですが、生焼けを気にして焼き過ぎたり、火力が強すぎて中が生焼けだったりと、案外玄人向きのメニューです。

ちなみに、焼き鳥ではなく“焼きとん”にした理由は、焼き鳥より難しいから。材料の豚のカシラ肉はコラーゲンが豊富で脂身が筋のように入っている部分と赤身の部分があり、焼き加減が難しいのです。
ということで、1品目のメニューの焼きとんで早速検証してみましよう。

豚のカシラ肉に軽く塩コショウをし、同じ厚みになるようにジップロックに並べて入れ、なるべく真空状態にします。お肉はカットせずにそのままの大きさで加熱します。

設定温度は65.0℃、時間は40分としました。これは、ANOVAのガイドにある「Chikin Breast(鶏むね肉)厚さ5cm、63.5℃で1~4時間」 と「Pork Chops(豚肉の切り身)厚さ5cm、56.5℃で2~10時間」という数値をベースにしています。さらに、足の早いカシラ肉を安全に調理するため殺菌効果が高い60℃以上とあたりを付け、仕上げの焼き考え、低温調理としては比較的コンパクトな時間にしました。

いつものように設定温度になったら、ジップロックを入れ、設定時間になったら引き揚げます。

カットして、火の入り具合を確認します。脂肪分が少ない肉厚な赤身の部分は色が全体的に白っぽくなり、火が入っているのがわかります。

一方、脂身や筋が多い部分は赤身に比べるとやや生っぽく、火の入り方が弱いようです。

この違いは、これまでの調理で脂肪分が多い場合は設定温度を高めにするという知識を得ていたので、すぐに納得しました。

あくまで下ごしらえなので、生焼けにならない程度に火が入っていればOKです。しかも脂身が多い筋の部分は厚みがないので、高温で焼けばすぐ火が入ります。

下ごしらえしたカシラ肉を一口大にカットし、串に刺します。ちょうど、友人を集めて炉端焼きをすることになっていたので、ワイワイガヤガヤしながら仕上げは炭火で調理です。

焦げ目がつき、肉汁が表面にでてきたくらいがベストです。だいたい10分位でしょうか。(焼き過ぎると表面が乾き、固くなり味が落ちます。)

さあ、実食!

完璧です。適度にジューシーさを残して、ちゃんと仕上がっています。
炭火で焼いた美味しい焼きとんに友人たちもご満悦でした!

■鶏の唐揚げの下ごしらえ(62.0℃、1時間20分)

検証メニュー2品目は鶏の唐揚げです。狙うは有名フライドチキンチェーン店みたいなカリッとジューシーな唐揚げ。こちらもそれほど難しい料理ではないのですが、やっぱり生焼けは避けたいもの。今回ちょっと大ぶりの唐揚げにしようと思うので、より火の通り具合には注意が必要です。

主な材料は鶏もも肉、ショウガ、にんにく、塩コショウです。鶏もも肉は皮をはぎ、4つ切りにし、すり下ろしたショウガとニンニク、塩コショウをジップロックに入れ、揉み込みます。10分程度置き、味をなじませます。

ANOVAの設定温度は62.0℃、時間は1時間20分としました。以前、メディアロケットでサラダチキンを作った時は、鶏むね肉を60℃、1時間でした。今回は、鶏むね肉よりも脂肪分が多い鶏もも肉を使いますので、温度をやや高めにしました。また肉の量も多めだったので時間も3割程度長くしました。

ANOVAの鶏肉の設定温度より低めですが、これは最後に揚げるという工程を考慮してのことです。

準備が整ったので、いざ、投入。

時間になったので、引き揚げてみました。全体的に白っぽくなり十分火は入っているようです。衣が付きやすいように、少し冷まし、肉を落ち着かせます。

衣はコーンスターチと小麦粉を4:6の割合でブレンドし、ハーブソルトを加え、衣にも味を付けます。後は170℃程度に熱した油に入れます。肉が浮き上がり、衣がきつね色になったところで引き揚げます。引き揚げる前に少し温度を高めにすると油切れが良く、カリッと仕上がります。

早速、カットして断面を見てみましよう。当然ですが、下ごしらえの段階で火入れしているので、生焼けということはありません。いつもよりそんなに気を使って揚げなくてもよさそうです。ここまでは順調かと思われました。

しかし、実食すると、んー☆・・・ん?

かすかに鶏の臭みを感じました。またしばらくすると引き揚げたバットにうっすら血が滲んだような汁が出ています。生焼けかと思い2度揚げしてみました。再度食べてみましたが、あまり変化がないです。そして、いつもよりジューシーさが無いような・・・。

思い返せば、結構ジップロックに肉汁が出ていて、冷ますと、コラーゲンを含んだ肉汁が固まっていました。下ごしらえの段階でせっかくの旨味が外へ出てしまったのでしょうか。それとも、脂身の少ない鶏むね肉であれば美味しく仕上がったのでしょうか。

色々調べてみると、低温調理を上手に使って美味しいフライドチキンを作っている方もいらっしゃるようなので、設定温度や時間などに問題があったのかもしれません。一方で、揚げ物の場合の下処理としての低温調理は向かないという意見のブログもありました。

とにかく低温調理のポイントは、この設定温度と時間です。これをどうはじき出すか、その一言に尽きます。しかし、今回、これといった原因がわかりません。

現段階では、鶏の唐揚げの場合、普通に揚げた方がラクというのが率直な感想です

■牛肉の赤ワイン煮を低温調理だけで作ってみる(85℃、3時間)

もう1つおまけで、実験をしたメニューがあります。「牛肉の赤ワイン煮」です。
この料理は、ワインと香味野菜(玉ねぎ、セロリ、人参)に一晩漬け込んだ牛肉をソテーし、漬け込みした汁で3時間以上煮込みます。

工程はシンプルなのですが、何せ時間がかかるのと焦がさないように、鍋を見張っていないといけません。そこで、この煮込む作業をANOVAで出来たらいいなあと思い、沸点に近い85℃で3時間、調理してみました。

設定時間を経過したのがこちらの画像。

あれ?あまり見た目は変わっていませんね。ビーフシチューのようなブラウンになるはずですが、調理する前とほぼ同じです。ジップロックを開けるとワインのアルコール臭がします。

中の肉を取り出して確認してみましよう。しっかり火は通っていますし、フォークがスッと通るくらいに柔らかくなっています。

そうです。低温調理器はあくまで湯煎用であり、煮込み用ではないのです。しかも密封しているのでワインのアルコール分が飛ばず、これでは食べられたものではありません。

そこで、煮ると煮込むは違うのか?という疑問が湧いてきました。

さすがはシチューでおなじみのハウス食品(株)さん、サイトに「煮る」と「煮込む」の違いについて記されていました。

「煮るは水を熱することによって(水を媒体として)中の食品を加熱する方法であるが、煮込むはその上にいろいろな食品の成分を水に溶け出させて渾然一体とし、さらにはそれらを再び食品に吸収させるという過程をくり返し、鍋の中の水(汁やソース)と食品との風味のバランスを最適化する」(原文を要約)
ハウス食品(株) シチュー資料館/シチューの科学/ 「煮込む」とは?

つまり、低温調理では「煮る」ことはできますが、「煮込む」ことはできないのです。

過去に煮魚が上手くいったのは、煮込むのではなく煮る作業だったからかもしれません。

ということで、結論です。

<低温調理器の向き・不向き>

・焼きものの下ごしらえ(火入れ)には向く。

・揚げ物の下ごしらえ(火入れ)はやや不向き。※やり方次第かも

・煮る(火を入れる)ことはできるが煮込み(食材の一体化)はできない。

これからの研究によっては変わるかもしれないですが、現段階での見解です。

何かと良いところばかりが取り上げられやすい低温調理器ですが、その強み・弱みをよく理解して、美味しい料理を作ってくださいね。

余談ですが、牛肉のワイン煮はANOVAで調理した後、鍋で1時間程度煮込むと美味しく仕上がりました

鍋の煮込み時間が1時間に短縮できたこと、肉を柔らかくするという点では低温調理器は効果があったようです。

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hassy

食とアウトドアをこよなく愛するアクティブ派。おいしい食材を求めて、釣りや山菜採りにも出掛けます。国内外問わず、旅先では市場と産直巡りは欠かしません。好きな言葉は「テロワール」。

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