低温調理器で話題のジビエ(鹿肉)を調理してみました ~ステーキ編

シェフ直伝のジビエ料理の仕方

2018.03.03

低温調理

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前回、低温調理器で鹿肉のヒレカツを作りましたが、その美味しさにすっかりハマり、今回は鹿ロース肉でステーキを作りたいと思います。
ただし、ステーキはこれまでも何度か低温調理していますので、普通に仕上げるのは面白くない!
そこで、郡山市内にある「ラ・ギアンダ」の加藤シェフに、鹿肉の美味しい食べ方を教えていただきました。

というのも、たまたまランチで利用させていただいた際、タイミング良くエゾシカ肉のステーキをシーズンメニューで出されていました。しかも「エゾシカ肉のステーキ あんぽ柿ソース」です。

ご存知ない方のためにちょっと説明しますと、あんぽ柿とは渋柿を硫黄で燻蒸して乾燥させたもので、福島県伊達市梁川町の五十沢(いさざわ)地区が発祥です。福島県人なら誰でも知っているであろう、あんぽ柿。これをステーキソースに使うとは、加藤シェフの並々ならぬ地元愛とその発想の豊かさが光ります。

ちなみに干し柿とあんぽ柿の違いは、単に干しただけの干し柿は乾燥して黒く堅くなり、さらに時間が経過すると糖分の粉を白く吹きますが、あんぽ柿は半分生のようなジューシーな感触で羊羹のように柔らかいのが特徴です。

えー!鹿肉とあんぽ柿合うの?
あんぽ柿をどうやってソースに使うの?

そんな言葉が頭の中を駆け巡ります。もう興味津々!!そして、プロが作る鹿肉ステーキを食べたーい!!!!

ということで取材がてら、実食させていただき、おまけにあんぽ柿ソースのレシピまで伺ってきました。

■鹿肉の下処理

鹿肉の下ごしらえについてはネットで情報を集めていましたが、今回はプロの料理人に話が聞けるのですから、これは確かな情報!

まず、鹿肉はドリップが多いので、解凍した後に業務用の浸透圧脱水シートに包んでひと晩くらい置くと良いとのこと。おー!ここまでは、学んでいた通りでした。

それと「鹿肉って、思っていたよりも柔らかいですよね?」と言うと、「一般的に鹿肉が堅いイメージがあるのは、日本シカの肉を食べたことがある方ではないかなあと。日本シカよりもエゾシカは体が大きく、筋肉も大きいので肉質が柔らかいんです。」と加藤シェフ。

今回つかったのは北海道が主な生息地のエゾジカの冷凍肉です。

これは知らなかった~、なるほど!

下ごしらえに戻りましょう。

解凍した後のドリップを捨てピチットシート(オカムラの浸透圧脱水シート)に包み、冷蔵庫で約8時間置きます。

解凍直後の鹿肉

これが、包んですぐの状態。数秒で肉にシートが吸い付くような感触があります。

そしてこちらが、8時間後の状態。シートに水分が吸収されているのがわかります。


さあ、これからは、いつもの手順です。お肉の重さに対して0.8%の塩分が美味しい塩分量でしたね。これは、体内の塩分濃度に近いパーセンテージだからなんですよ。お酒を一緒に楽しむときなどは、もう少し塩を多くしても良いかもしれません。

今回、用意した鹿ロース肉はひと切れ約180gなので、塩は1.4g程度。

この分量を量るのはちょっと面倒ですよね。あくまでも目安ですが、ひとつまみ(親指、人差指、中指の3本の指先でつまむ)は0.6g~0.8gと言われています。ですから片面ずつ、ひとつまみ程度の塩をすればOKです。さらにコショウをまぶして、ジップロックに入れます。

設定は、温度は57℃、時間は1時間にします。加藤シェフによると、鹿肉は火が入り易いので低温調理する場合は、57℃でいいでしょうとの事。おお!ここでもプロの意見とバッチリ合いました。これまで何度か低温調理を実践してきた賜物でしょうか。なんだか嬉しいです。

さあ、設定温度になりましたら、ジップロックに入ったお肉を沈めて、しばらく放置。

1時間経ちましたので、引き揚げます。表面がうっすら茶色くなりました。ドリップは少しありますが、ピチットシートを使ったので、前回よりもドリップが少ないようです。

お肉を少し休ませている間に、ソースを作りましょう。

■ソースづくりと鹿肉に合うステーキソースあれこれ

まずは、あんぽ柿ソースの感想から。

そう、どんな感じかな~と思って食べたら、確かにあんぽ柿なんだけど全然不思議じゃないです。むしろ柿の甘みと鹿肉のワイルドさがあいまって、美味しい。鹿肉はそんなにクセはないですが、肉らしいジューシー感はあるので、それがあんぽ柿に上手に包まれている感じです。フルーティで甘酸っぱくもあり、旨味が引き立ちます。

これはプロだからなせる業かと一抹の不安が過りましたが、何はともあれ加藤シェフにあんぽ柿ソースをレクチャーしていただきました。

・あんぽ柿ソース

<材料>
・あんぽ柿 1/2個(小さなものなら1個)
・お好みのお酒(日本酒、白ワイン、リキュール、焼酎などご家庭にあるもので)
・フォンドボー 50cc
・塩 少々

お酒類は基本なんでもOKですが、赤ワインだけはNG。赤ワインとお肉の相性は良いのですが、あんぽ柿に対して赤ワインは酸味が強く出てしまい、色も悪くなるので、あんぽ柿とは相性があまりよくないとか。ちなみに、お店で出しているあんぽ柿ソースに使っているお酒は企業秘密だそうです。なんだろう、気になりますね。

私なりにあんぽ柿に合うもの、鹿肉に合うものと考え、家にあったアマレットを使うことにしました。アマレットとは、アーモンドに似た香りのするお酒で、材料は杏仁(アンズの核)から出来たお酒です。ナッツっぽい香りがジビエには合うのではないかと。

それから、「フォンドボーも本来なら鹿の骨などを煮て作ったものがいいのだけど、材料も手に入り難いので、通常のフォンドボーでいいですよ。」とのこと。

フォ、フォンドボーですか。さすがプロ、出てくるワードが違います。

フォンドボーとは子牛の骨やスジを焼き色がつくまでこんがりとオーブンで焼いてから、水やブイヨンに入れてかなりの弱火でじっくり煮込み、これにタマネギやセロリなどの香味野菜にトマトと香辛料を加え、数日かけて煮込んだものです。

今回は、缶詰のフォンドボーを使うことにしました。もっと身近なものでしたら固形スープをお湯で溶いたものでもいいかもしれません。

<作り方>
①あんぽ柿をみじん切りにし、用意したお酒に加え、混ぜます。

(①をフードプロセッサーでピューレ状にすると、なお良いです)

②鍋にフォンドボーを温め、①と塩を加え、ひと煮立ちします。

これで、出来上がり。すっごい簡単です。

あんぽ柿は秋から冬にかけて作られるので、まさにジビエの季節とバッチリ合います。そういう季節感をさりげなく取り入れてしまう加藤シェフ、さすがです。

さらに、あんぽ柿ソース以外にも鹿肉に合いそうな、ちょっとおしゃれなソースを教えていただきました。

・山ぶどうソース

田村市滝根町などで栽培されている 北醇(ほくじゅん)という品種の山ぶどうがあります。生の果実を手に入れるのは難しいので、干しブドウをリキュールなどに浸して柔らかくしたものを山ぶどうジュースに加えます。

山ぶどうのジュースがない場合は、山ぶどうジャムでもよいとか。これをフォンドボーでのばし、ソースにします。

ちなみに、とっても美味しい山ぶどうジュースを滝根町の福福堂さんで生産・販売しています。季節限定ですが、こちらの山ぶどうジュースは、ひと味もふた味も違うのでおススメです。

・福福堂 山ぶどうジュース/山ぶどうジャム
https://store.shopping.yahoo.co.jp/fukufukudou/b-3.html
https://store.shopping.yahoo.co.jp/fukufukudou/b-4.html

・春菊のグリーンソース

サラダでも食べられるようなえぐみの少ない春菊を生のままミキサーにかけ、ビネガー、塩コショウをして、ソースに仕立てます。こちらは冷たいソースですが、温かいソースが好みの方は人肌程度に温めてサーブすると良いそうです。グリーンがさわやかに映え、見栄えもバッチリだとか。

どれを聞いても、レベルが違いますね~。

ニコニコ説明してくださる加藤シェフの笑顔に後押しされ、なんだかできそうな気がしてきました。今度やってみたいと思います。

■鹿肉(ロース)のステーキを仕上げます。

さて、ソースもあっという間に出来上がりましたので、休ませておいた鹿肉をフライパンで焼きます。熱したフライパンに油を敷き、鹿肉の両面に焼き色を付けます。

さて、断面を見てみましょう。

均一に火が入っていますね。盛付します。

今回は、これまた低温調理器Anovaで作ったクリーミーマッシュポテトを添えます。

このマッシュポテト、面倒な裏ごしも不要ですし、濃度を調節すればソースにもなります。作り方はこちらの記事を参考になさってください。

温めたお皿に、茹でた野菜(今回はアスパラガス、ブロッコリー、赤かぶ)、マッシュポテト、そして鹿肉を盛付けます。最後にあんぽ柿ソースを添えて、出来上がりです。

いかがでしょうか。
ちょっと、おうちレストラン的な一皿に仕上がりました。家族の評判も上々!!

やっぱり、安定した火入れができたのは低温調理ならでは!そして、ワンランク上のソースを教えてくれたラ・ギアンダの加藤シェフに感謝。自分で作る前に、まずは美味しい鹿肉料理を食べたいという方は、是非、「ラ・ギアンダ」へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

・トラットリア ラ・ギアンダ 福島県郡山市菜根4-25-15
http://www.arukunet.jp/gourmet/42535/

《結論》家庭でジビエ料理をするなら低温調理器は必需品。さらにワンランク上を狙いたいならソースにもこだわってみよう。

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hassy

食とアウトドアをこよなく愛するアクティブ派。おいしい食材を求めて、釣りや山菜採りにも出掛けます。国内外問わず、旅先では市場と産直巡りは欠かしません。好きな言葉は「テロワール」。

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