ソムリエ石田博氏によるワインペアリングは驚きの連続@おいしいアカデミー 

世界トッププロが選ぶ、フランス料理に合うワインとは

2018.08.05

ローカルフード ワイン

シェア ブックマーク LINEで送る

2ヶ月にわたって学んできたぐるなび「おいしいアカデミー〜世界のワインコース」第一期もいよいよ最終講座。今回は日本で最も有名なソムリエの1人、石田 博ソムリエによるフランス料理のペアリングです。

石田講師は世界最優秀ソムリエコンクール3位ほか数々のタイトルを持つトップソムリエで、日本ソムリエ協会の副会長としても精力的に活動されています。

トップ中のトップに直接指導いただけるいうことで、私を含め、この日を楽しみにしていた受講生も多いはず。

会場は乃木坂で38年続くフレンチの名店「レストランFEU 」今回も「おいしいアカデミー」の貸切です。

乃木坂駅から徒歩30秒という絶好の場所にある「FEU」

席にはいつものように、ペアリング用のグラスが多数セットされています。

まずは石田講師からペアリングについてのレクチャー。

なんと、店内にスクリーンが用意してあり、ペアリングの歴史や意義についてスライドで説明していただきました。

まさに「レストランで学ぶ」という、ありそうでない贅沢な環境です。

最近のトレンドというイメージがあるワインペアリングですが、その歴史は思いのほか古く、元祖は1980年代、パリのアラン・サンドラス。

ヌーヴェル・キュイジーヌの鬼才と言われたサンドラス(昨年逝去)は、それまでの「ワインはボトル単位で飲む」という常識を破り、「この料理にはこのワイン」というペアリングの提案を生み出しました。

そしてターニングポイントとなったのは2000年。ご本人は言及されませんでしたが、石田講師がトップ3となった「世界最優秀ソムリエコンクール」において、「一皿ごとに違うワインの提案を行う」という出題が初めて行われました。同年、シドニーの大人気レストラン「Tetsuya’s 」(日本人オーナーシェフ和久田哲也氏の店)が移転。「ワインペアリングコース」が注目を集めました。この年をきっかけとして、ペアリングコースがグローバルトレンドとなっていったといえるのです。

日本では2010年頃からワインペアリングコースを設けるレストランが増えてきているとのこと。

■フランスワインがないフレンチコース

ペアリングコースとは、料理とワインの両方を楽しむことができる洗練された食事スタイル

「飲み放題」でもなければ、「これが飲みたい」という客側のリクエストに応えるものでもなく、ソムリエによるおまかせコース。だからこそ、知らない産地や品種、意外な組み合わせなどの新たな「発見」を楽しむことができるのだそうです。

「ワインペアリングは、まずソムリエとシェフとのペアリングから始まります」と石田講師。

この3月にフランスから帰ってきたばかりの「FEU」料理長・宮本信一シェフと事前に試食会を行ってこのランチ特別コースのワインを決定したとのことでした。

コースは、デザートを含めて6品。それに合わせた6種のペアリングワインが用意されていますが、石田講師の言葉通り、異次元と言ってもいいぐらい「発見」の連続した

なにしろフランス料理なのにフランスワインが1本もないのです。

世界中からセレクトされた6種のワインは、泡、白、オレンジ、ロゼ、赤、甘口とスタイルもすべて異なり、最後までエキサイティングに楽しむことができました。

右から半時計回りに1〜5まで。

ペアリングはこんな感じです。

1,トマトのソルベとトウモロコシのムースをのせたガスパチョには・・・
カナダ・ノヴァスコシア州「BENJAMIN」のスパークリングワイン(シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノムニエ)

2,シャンパンソースを添えた魚介ベースのオードブルには・・・
西オーストラリア州の高級ワイン産地・マーガレット・リヴァー「CULLEN」の白ワイン(ソーヴィニヨンブラン、セミヨン)

3,ザクロやタスマニア産コショウをアクセントにしたフォアグラには・・・
ジョージア(旧グルジア)・カヘティ地方「GIUAANI」のオレンジワイン(ムツバネ)

4,千葉産ヒラメのブイヤベース(カレー風味)には・・・
ワシントン州・コロンビアヴァレー「Charles & Charles」のロゼワイン(シラー、グルナッシュなど)

5,黄色ワイン(ヴァン・ジョーヌ)ソースを添えたブレス鶏のロースト には・・・
ドイツ・ファルツ「BECKER」の赤ワイン(シュペートブルグンダー=ピノ・ノワール)

6,白桃や木苺を使ったデザートには・・・
オーストリア・ブルゲンラント州「KRACHER」の甘口ワイン(ヴェルシュリースリング)

石田講師によれば、あえてフランスワインをはずしているわけではなく、特に5のメイン料理はフランスらしい料理なのでフランスワインを合わせたかったそうなのですが、結果的にドイツワインになったとのこと。でも、あとで調べるとこのメーカー「フリードリッヒ・ベッカー」の畑はフランスにまたがっていて、品種もフランス種の「ピノ・ノワール」を使っているので、限りなくフランスに近いドイツワインと言えるのかもしれません。

メインに使われたドイツの「フリードリッヒ・ベッカー」の赤ワイン。

ワインを学んでいる身としては、ここで気の利いたコメントをしたいところなのですが、どのペアリングも「合う!」としか言いようがなく、なぜ合うのかまで説明できるにはまだあと数年かかりそうです。

失敗だったのは、あまりに美味しすぎて、注がれたワインをすべて飲み干してしまったこと。

アルコールがさほど強くない私はコースの半ばから酔っ払ってしまい、味がよくわからなくなるという大失態。(ペアリングコースは皿数だけワインもあるので、飲み過ぎ注意です)

そのせいか、印象的だったペアリングは前半に集まってしまったのですが、その中からいくつか紹介したいと思います。

■スタートは酷暑にうれしいスパークリングワイン

まず最初の1杯、ノヴァスコシア州のスパークリングワインにガツンときました。

知っていましたか、ノヴァスコシア州。私は知らなかったのですが、カナダの東側の半島部分だそうです。これまで寒すぎてぶどうは収穫できなかったところですが、地球温暖化のおかげで、冷涼な土地に適しているといわれるスパークリングの産地として最近注目を集めているのだとか。

この日も東京は酷暑。ムース仕立ての冷たいガスパチョに、カナダの寒い土地でできた酸味の効いたスパークリングワイン。口に含んだ瞬間、汗がすーっと引いていくとともに、その洗練された味わいに驚き、テーブルの一同が目を丸くしてお互いに顔を見合わせたほど。

「本家」シャンパーニュはじめスパークリングは世界中いろんなところで作られていますがあえてこの産地を選ぶ(選べる)ことのすごさを感じざるを得ません。

この一杯ですっかり「石田ワールド」に引き込まれ、一気にテンションが上がっていきます。

■8000年の歴史を持つジョージアワインとフォアグラ

個人的にこの日もっとも印象深かったのは3番目の「フォアグラとオレンジワイン」でした。

世界最古、8000年の歴史を持つジョージアワインは、「クヴェヴリ」と呼ばれる大きな土甕を使った伝統製法をいまも続けており、とりわけ白ワインを赤ワインの製法でつくる「オレンジワイン」は今大きな注目を集めています。

ジョージアのオレンジワインは以前に何度か試飲したことがありますが、「個性的なワイン」という印象はあるものの特に美味しいとは思いませんでした。

しかし今回、フォアグラと合わせて飲んでみたら、まったく違う印象に。

乱暴な表現ですが、「やたらに美味しい」のです。

ジョージアの白ブドウの土着品種「ムツバネ」でつくられたオレンジワイン。

まるでデザートのようなフォアグラのディッシュ。パッションフルーツやザクロの酸味、タスマニアペッパーのスパイシーさがフォアグラを引き立てていました。

オレンジワインは珍しいのでワインそのものに注目してしまいますが、実は単体で楽しむものではなく「食事に合わせるワイン」、つまり主役ではなく引き立て役のワインなのだということがわります。逆に言えば「ペアリングしやすいワイン」。8000年の時を経て、時代に合ってきたワインなのかもしれません。

石田講師によると、オレンジワインはすき焼きにもとても合うとか。確かに合いそう。ぜひ試してみたいと思います。

「ブイヤベースとロゼ」も絶妙でした。

魚料理には白ワイン、という公式しか知らない私にとっては、ここにロゼ来るか〜という新鮮な驚きです。しかもブイヤベースなのにフランスではなくアメリカのロゼ!

エスニックテイストのブイヤベースに辛口のロゼ。

ロゼ好きとしてはうれしくて思わず注ぎ足しをお願いしてしまいました。

(今思えば、これでかなり酔いが回ったと思います。。。反省)

食事終了後、宮本シェフを囲んで質問をする受講生。

■第一人者からワインペアリングを学べる幸せ

フランスから帰ってきたばかりのシェフと世界トップクラスソムリエによるペアリングコース。

ペアリングの最先端に触れたことで改めてわかったのは、「ワインペアリング」というのは、ワインの産地、ブドウ品種、個々の生産者に至るまでの膨大な専門知識と経験、そして料理の知識と経験に加え、どんどん増えていく産地や世界のトレンドの情報、その他もろもろあると思いますが、それらすべてを総動員して行われるものだということです。

きわめて高度な知識と技術の結晶で、ソムリエの力量が問われる分野だと思います。

そしてそれらの技が生み出す世界は、単純に「心地よい」ということ。「より食が楽しくなる」ということ。

新たな食の愉しみを与えてくれるワインペアリング。

全6回の講座を通してその奥深さと楽しさを知り、新たな世界の入口に立たせてもらった気がします。

なかなか学ぶことができない「ワインペアリング」を学べる「おいしいアカデミー」。

ワインの楽しみ方の幅を広げたい方、座学だけで終わらせたくない方、一流のプロから学びたい方におすすめの講座です。

「おいしいアカデミー 世界の料理とワインコース」
http://oishiiacademy.com/wine.html

そのほかのレストラン講座レポートもどうぞ。
和食に合うワインとは?料亭でペアリング講座
京都テイストの絶品イタリアンでペアリングを学ぶ

Hitomi Kumasaka (熊坂 仁美)

ワインと日本酒が大好き。WSET Level3 in Wine, Level3 in Sake(英語)JSAワインエキスパート. SAKE DIPLOMA。 https://kumasakahitomi.com/

シェア ブックマーク LINEで送る

同カテゴリ記事

もっと見る now loading

ABOUTメディアロケットとは

メディアロケットは、福島を中心とした「ローカルな食」の魅力をお伝えし、楽しんでいただくメディアです。 → 続きを読む

メディアロケットで
自社の商品を
PRしたい方はこちら

人気ランキング TOP5

  • 月刊DOCG

    貧しい土地から生まれた偉大なワイン〜産地をめぐるワインつきマガジン「月刊DOCG」レビュー…

    2020.02.26

  • 海外の食文化

    サルデーニャの羊乳チーズ「ペコリーノ・サルド」の老舗工房へ〜イタリア生産地をめぐる旅④

    2019.05.08

  • 海外の食文化

    甘口ワインは「家飲み」をグレードアップする秘密兵器だ〜「ラザグレン・マスカット」レビュー

    2020.03.13

  • 月刊DOCG

    目にも美しい高級プロセッコを楽しむ〜産地をめぐるワインつきマガジン「月刊DOCG」レビュー…

    2019.06.30

  • 日本酒

    「天明」「一生青春」の曙酒造の蔵開きに行ってみた!

    2019.11.15

アーカイブ

  • Instagram
  • Twitter
  • YouTube