旬の山菜、「春の苦味」とのペアリングを探る〜林智裕の「ウチにおいでよ!」Vol.10

春は「苦み」でデトックス。もちろん、お酒とともに!

2019.03.10

ローカルフード 日本酒

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こんにちはー♪

3月になりました。今年は思った以上に、暖かくなるのが早いね。福島でこの時期にこんなに雪が少なくて暖かいなんて、ちょっと珍しいかも。

さて、春といえば待ち遠しい味覚は、なんといっても山菜。福島ではちょっぴり気が早い気もするけれど、他の地域だともう本格化してもおかしくない時期だもんね。ふきのとうにタラの芽、ワラビ、山ウド、コシアブラ! 冬は冬で美味しいものがたくさんあったけれど、春には春の美味しいものが待っているよね。

特に、昔からことわざには「春には苦味を盛れ」というのがあるらしくてね。「春の七草」からはじまって、旬の山菜の、ちょっぴりほろ苦さある自然の味わいこそが、春ならではの食に欠かせない愉しみでもあるのです♪

…あ、でも「苦味」って、実はちょっと合わせるの難しくない?「酸味」とか「渋味」もそうで、 もちろん美味しいのだけど、食べ合わせとか考えるのは「旨味」「甘味」「脂味」なんかに比べると、少し工夫が必要かな。

というわけで、今日は本格的な山菜の季節を前に、ちょっと先取りして「苦味」「渋味」とお酒とのペアリングを実際にイロイロ試してみようと思いまーす☆(*´▽`*)ノシ

 

─────

 

ではでは。さっそく色々用意してみたよー?

今日用意したお酒は、ちょっといろいろ試す意味でバラエティにゆたかにしてみましたー。

まずは王道、日本が誇る生ビール「アサヒ スーパードライ」

(※アサヒビールさんHPより)

キレのある洗練された「辛口」。雑味無く、澄んだ味わいは、まるで磨き抜かれた鋭い日本刀の切っ先のように凛としていて…なーんて、いまさら説明するようなモノではないくらい、有名なビールだよね。ワールドビアカップ2014年では金賞も受賞していて、世界からも愛されているのだとか。

続いては、網走ビール「流氷ドラフト」。注いでビックリ! オホーツク海の流氷をイメージした青いビール。天然のクチナシから色をとってるんだってー。仕込み水にオホーツクの流氷を使い、やわらかで優しい香りと繊細な味わい、スッキリしたのど越しを実現した、とっても美味しいビールです♪

お次は、山形の高木酒造さんから「十四代蘭引酒 鬼兜」。米焼酎…なんだけど、度数は40%。オーク樽熟成。焼酎ではあるのだけど、ほぼウィスキーっぽいというか。実はかなり珍しいお酒だよ?

日本酒は、群馬県から「氷温生原酒 譽國光(ほまれこっこう)」と、福島県から「登龍 (とりゅう)華 せめ 磨き50」。

「譽國光」は薫り高く飲み口が良いものの、山廃仕込み由来のどっしりとした味わいを持つお酒。最近もdancyu3月号の日本酒特集で取り上げられていた土田酒造さんのお酒で、平成29年の酒造年度からは全量純米、全量山廃に切り替えたんだって。こだわりを感じるよね。
もう一本は、福島県は白河市が誇る合名会社大谷忠吉本店さんのお酒。純米での「磨き50」ということで事実上の純米大吟醸だけどそんなにお値段は高くないの。使っているお米は、TOKIOの番組「DASH村」で三瓶明雄さんが育てていたのと同じ、「福島県産チヨニシキ」なんだって。なんか、企画でキーポイントになるような扱いされていたお米だから、ちょっとありがたみあるかも?

あとね、ここ大谷忠吉本店さんのお酒は全て、ある程度の熟成をかけてから発売されるのが特徴でね、特に「登龍」のシリーズにはそれを感じやすいんだよー。今回のコレは、熟成感を持たせたコク味と大吟醸に相当するスッキリした飲み口の両立が魅力的な、いつもの登龍より華やかな香りがちょっぴり強めの、発売されたばかりの春限定酒。どちらも、なかなか味わい深い逸品なのですよ♪

今回のお酒は、どれもとっても美味しい実力派揃い。これらのお酒を、さっそく「苦味」「渋味」を持つおつまみに合わせてみましょ♪

 

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用意した山菜の一品目は、『タラの芽の天ぷら』。比較的誰にでも食べやすいおなじみの料理だねー。

まだ地のものは出ていないので、他産地のタラの芽を揚げたお惣菜を、我らが愛する福島市のローカルスーパー「いちい」さんで買ってきましたー♪

一品目は、「苦味」としては割とひかえめな感じ。天ぷらの甘さも加わるから、ますますだね。

 

というわけで、まずはビールを合わせて、タラノメに乾杯☆

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──

どうかな?

アサヒスーパードライは、さすが大手の王道ビール。難なく合わせてくれる感じ。ビール自体がちょっぴり苦さがあるからタラノメの天ぷらくらいの苦味や渋味だと気にならないし、むしろ天ぷらの油をキリっと流してくれる感じ? 美味しいよね。(*´▽`*)

流氷ビールは、柔らかで優しい香りが天ぷらから漂うちょっぴりの甘さと合わさって良い感じ。色は衝撃的だけど、悪くはないよね。でも案外、山菜の苦さというよりも独特の香りや油の甘さとの方が相性よさそうなので、これよりはチーズとかスイーツとかに合わせてあげたほうがよさそう? きっと、ふわぁぁぁぁ…っ!ってアロマが漂って、最高に違いないよ。

さらに、ここに米焼酎「鬼兜」も合わせてみちゃう。

この色合い、ホントにもうウィスキーみたいに見えちゃうよね。ちなみに「十四代」ていうのは、あの有名な山形の高木酒造さんの「十四代」。頂き物なんだけど、こんなにレアなお酒飲ませてもらっちゃっていいんでしょうか…。(´・ω・`)

じゃあ、これも乾杯☆

…!

やっぱり、すごい味わい。ちょっとシェリー樽熟成ウィスキーみたいな香りもするし、米焼酎ならではの風合いもとっても素敵に生かされてるし。美味しい…!

食中酒というよりは食後酒という感じだけど、タラノメの天ぷらくらいなら心地よく合わせられるね。でも、やっぱりどちらかというとナッツとかチーズとかチョコレートとか、そっちのほうがより相性はよさそうかも。

最後は、日本酒で。譽國光も登龍も共に、さわやかな飲み口の良さがありつつ、奥行きが非常に深いというか。包容力がある複雑な重厚感とが合わさるお酒なので、ここに山菜の苦味や渋味が入っても、全然気にならないね。むしろ、ちょうど良いスパイスになる感じ。美味しいね!

─────

続いては2品目、山ウド油炒め。南会津の渡部なめこ店」でしか販売されていないという幻の味。メンマのようなシャキシャキした心地よい歯ごたえと、じゅわぁー…っとにじみ出てくる油の甘味、山ウドならではの苦味と渋味、強めの塩気が全て同居したおつまみ。結構インパクトある強い味わいだね。

それともう一つ3品目。これも南会津「会津産業」さんから『ふきのとうの佃煮』。ふきのとうは、今日用意した中では一番「苦味」が強め。どちらも会津の山の幸がそのまま生かされている逸品で、銘酒処・福島の秘蔵のお酒とおつまみが毎月届くfukunomoで届けられたことがある、奥会津自慢の逸品。(*´▽`*)

この2品、とっても美味しくて魅力的!なのだけれどね。一方で強めの苦味と渋味が個性でもあるので、合わせるお酒を選ぶと思うんだ。なので、それを試してみようとあえて『タラの芽の天ぷら』よりもさらに苦くて、味も強めのおつまみを用意してみたのさー。ではでは、さっそく。

──────

この2品目と3品目は、スーパードライを合わせてみると苦味がちょっと強く出てしまうね。もちろんそれでも十分美味しいのだけれど、山ウドの魅力でもある苦味がそのまま単純に足し算みたいに加わってしまうから、スーパードライの持ち味であるキレの良さ、心地よい「ドライ」感の足をちょっと引っ張ってしまって少しもったいないかも。

流氷ラガーはますます、繊細で優しい味わいが苦味でかなり塗りつぶされちゃう感じ。やっぱりこの子は、苦味よりも甘味に合わせてあげたほうが幸せになれそう。

もしこのおつまみをビールに合わせるなら、もともと苦味がもっと強い重厚なものの方が相性いいかもしれないね。たとえばキリンの一番搾りとか、ラガーとか、秋味とかかなぁ。春だけどね(笑)

鬼兜も、この山ウドの苦さと塩気に負けないくらい強い味をもってはいるものの、お互いの良いところをわざわざ正面からぶつかり合わせるよりも、素直にもっと得意なものとペアリングさせてあげたほうがよさそうかなー。

そうなると和食の中でも「苦味・渋味」を愉しむタイプの山菜には、やっぱりある程度味の懐が広い酒というか、複雑な味のハーモニーを楽しむ前提にできている芯の強いタイプの日本酒を合わせてあげるのが良いかもしれないね。

というわけで、まずは譽國光。これを合わせてみると───。

うん!美味しい!山ウドのシャキシャキ感と旨味、ふきのとうのアロマ感がすごく良く引き出されてくる。「氷温生原酒」ということで爽やかながら、山廃の熟成感とまろやかでふくよかな香り。この懐の広さがあれば、苦味も渋味もちゃんと受け止めてくれる…というよりむしろ、この苦味と渋味がアクセントになって、お酒がまた進むね!

登龍・華は、上品で華やかな飲み口がありながらも芯がしっかりしているから、これもいいね!深い味わいのある熟成酒でありながら爽やかさがある。苦さや渋味を上手く美味しさへと調和させてくれる。しかもこのバージョンには華の香りを思わせるほのかな甘さもあるから、まるで山々に春が来て花が咲いていくよう。ああ、春だねぇ…。(*´▽`*)

最後の〆としては、これを。〆まで山菜を用意してみました♪

福島県鏡石町、お菓子司「かぎや」さんの山菜おこわ+栗おこわ。ほらほら、見て? このふっくらモチモチ感。口に含むとお米の甘さがあって、艶々として、しっとり、もっちり、それでいて粒立ちもあってしっかり。本当に美味しい!

福島ではほかにも郡山市の「たけや」さんのおにぎりとか、南相馬市の「松月堂」さんの「舞茸おこわ」も有名なんだけどね。そのうち、松月堂さんとこの「かぎや」さんはどっちもお菓子屋さん。やっぱり、もち米のポテンシャルの引き出し方を熟知しているというか、お菓子屋さんのおこわって、どうしてこんなに美味しいんだろうねー? (*´▽`*)

──────

というわけで、今回は「春は苦味を盛れ」にちなんで、苦味とのペアリングをいろいろ試してみました。それにしても、やっぱり日本酒はストライクゾーン広いね。他のお酒に比べてあんまり「合わない」ケースが少ないのも日本酒の魅力のひとつかな。

なお、相性の良しあしは個人の好みもありますし、あくまでも「合わせての相性」のお話なので、それぞれのお酒もおつまみも、それぞれに得意なトコがあってとっても美味しい!のだけは忘れないでね? なにしろ、ご存知のように。お迎えするときにはいっつも、「美味しいもの」しか用意しない主義なのです。( *´艸`)

林 智裕 (Hayashi Tomohiro)

フリーランスライター。1979年生まれ。いわき市出身、福島市育ち。 現在 【Media Rocket】の他、福島の美酒と美肴のマリアージュを毎月お届けする【fukunomo(ふくのも)】、地域の魅力やグルメ情報を発信する【福島TRIP】など複数メディアにて連載中。 また、【SYNODOS (シノドス)】【ダイヤモンドオンライン】【Wedge】【現代ビジネス】などでは不定期でビジネス向けの記事を執筆。 書籍『福島第一原発廃炉図鑑』(開沼博・編、太田出版)ではコラムの執筆を担当。

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