豊国酒造「豊久仁純米 金魚ラベル」 ~夏酒ペアリングレシピ(後編)
甘くて濃厚な夏酒に合わせる料理は?
2019.07.11
先日酒屋さんで日本酒を買う時、「軽やかなお酒と、重めのお酒……対称的なものを2本ください」と言って、馴染みの親父さんに「これは!」というものを選んでもらいました。
1本は先日ご紹介した榮川酒造の「會津龍が沢」。もう1本がこちらの「豊久仁純米金魚ラベル」です。
福島県内には「トヨクニ」という名前の蔵が2か所あります。一方は「廣戸川」で有名な豊国酒造、もう一方が会津坂下町にあるこちらの豊国酒造です。
豊國酒造の創業は幕末。現在は5代目の蔵元が酒造りを行っています。
会津坂下町というと「飛露喜」の名前を挙げる人が少なくありませんが、こちらの豊国酒造も実力は十分。過去に何度も鑑評会やコンテストで優秀な成績を修めているんですよ。
豊国酒造のフラッグシップ銘柄は「豊國」。文字違いの「豊久仁」は、どちらかというとモダンなタイプの日本酒が多く揃っています。スパークリング日本酒や白麹を使った日本酒など、ワイン感覚で飲める日本酒もあります。
ちょっとおしゃれなラベルも、今までの会津の蔵元には無い新鮮な印象です。
今回選んだのは、そんな豊国酒造が醸した夏の限定酒。ラベルに泳ぐ金魚が涼しげです。
さて、スペックを確認しましょう。
スペックは
・アルコール度数 14度
・精米歩合 60%(純米酒)
・使用米 夢の香
以上です。
酸度や日本酒度は記載されていませんでした。
会津若松市内にある植木屋さんのオンラインショップには「日本酒度 -10」と書かれていますので、相当甘口のお酒と思われます。
甘口のお酒というと、「おなかに溜まる」「たくさん飲めない(飲み飽きる・飲み疲れる)」などと言われたりもしますが、果たしてどんな味なのか……。夏酒でここまで甘いのはあまり見かけない気もします。
さっそく味見をしてみましょう。
注いだ瞬間は、甘酒のようなとろっとした甘い香りが鼻をくすぐります。
お酒の色はほぼ透明。キンキンに冷やした状態でもこれだけ香りが出るのは見事ですね。
少し口に含んだ瞬間の印象は、極めて甘い。とろみは無いのですが、みずみずしいクリアな甘さが長く続きます。酸は弱く、苦さ・辛さともに控えめです。
度数は14度と低めですが、原酒なので少しキツい・のみにくいと感じる人もいると思います。温度が上がればそれだけ香りも開いてくるので、できるだけ冷たい状態をキープするためにもロックで飲むのがおすすめです。
ピチピチとはじけるガス感が恋しい人は、炭酸水で割っても良いでしょう。ライムやレモンを搾るとさらに清涼感がアップします。
そんな「豊久仁純米金魚ラベル」に、今回は「ホタテのカルパッチョ」と「アジフライ」、「冷や汁」「カレー」の4品を合わせてみました。
蒸しホタテのカルパッチョ
少し酸味があるものと合わせたほうがさっぱりといただけるので、今回は蒸しホタテを使ったカルパッチョを作りたいと思います。
スーパーで売られている蒸しホタテにひと手間加えるだけで、十分美味しい酒のアテができるので試してみてくださいね。
材料
蒸しホタテ 食べたいだけ
~ソース~
塩コショウ 少々
マスタード 小さじ1
砂糖 1つまみ
オリーブオイル 大さじ1
酢 大さじ1
作り方
ボウルにソースの材料を入れてよく混ぜたら、蒸しホタテを加えてざっくりと和える。
3分もあれば、火を使わずにボウルひとつでできちゃうのでラクチン。
このメニューは我が家の定番です。
お好みでオニオンスライスの上にのせたり、オレガノやブラックペッパーを振ったりしても美味しいですよ。
そもそも蒸しホタテには軽く味が付いているので、(余程のことがなければ)失敗しないというのも嬉しいポイント。
アジフライはおろしポン酢でさっぱりと
サクッと揚がったアジフライをかじりながら「豊久仁純米金魚ラベル」を飲むのもまた良いものです。
せっかくなので、大根おろしと大葉を乗せて、ポン酢を掛けていただきましょう。
お好みで大根おろしにわさびを混ぜると、さらにさっぱりいただけるので一度お試しあれ。
揚げたて熱々のアジフライを齧ったら、キンキンに冷えた「豊久仁純米金魚ラベル」を一口……!
夏場の揚げ物は疲れるものですが、夏酒をとびきり美味しく飲むためにはその苦労もなんのその。
自宅でアジフライを作るときは、大葉や梅肉を挟んでも良いと思います。
ほんの少し酸味が加わるだけで日本酒の甘さが軽やかになりますよ。
火を使わずに作れる「冷や汁」もおすすめ!
あまりのおいしさにあっという間に完食してしまい写真を取り忘れてしまったのですが、下の動画で紹介されている「鯖缶を使った冷や汁」も「豊久仁純米金魚ラベル」に合いました。
ポイントは、薬味を「これでもか!」とたっぷり入れること。鯖って結構臭みがあるので、薬味は「入れ過ぎかな?」というぐらい入れたほうが臭みが消えて美味しくいただけました。
冷たい冷や汁をすすりながら、キンキンに冷えた「豊久仁純米金魚ラベル」を飲む……夏の暑さに疲れた体が生き返ります。
お好みで冷ご飯を入れたり、そうめんに掛けたりしていただくのも良いですね。もっと味をさっぱりさせたいなら、叩いた梅肉をプラスしても面白いと思いました。
カレーと日本酒の可能性
夏になると我が家では頻繁にカレーを作ります。カレーといってもじゃがいも・にんじん・たまねぎ――というオーソドックスなものではなく、ルウを使わずにスパイスをたっぷり入れて作るインド風のカレーです。
難しそうと思われるかもしれませんが、意外と簡単に作れるんですよ。100均のスパイスでも十分美味しいカレーが作れます。
インド人なら100円ショップのスパイスでも本格インドカレーは作れるのか?本場の味を知るインド人が挑戦!
今回、「豊久仁純米金魚ラベル」を味見したとき「これ、カレーと合わせたらどうなんだろう?」とふと考えたので、チャレンジしてみました。
今回作ったのは、豚肉を使った酸っぱいカレー「ポークビンダルー」です。
材料
・豚肉(ロースよりも肩ロースがおすすめです。) 200g(ひと口大にカットしておく)
・たまねぎ 1個(みじん切りにしておく)
・トマト 1個(ざく切りにしておく)
・サラダ油 適量
・酢 大さじ2
・塩 適量
・砂糖 適量
~スパイス(お好みで調整してください)~
・クミン 小さじ2
・カレー粉 小さじ1
・ガラムマサラ 大さじ1
・一味唐辛子 小さじ1
・にんにく(チューブ) 大さじ1
・しょうが(チューブ) 大さじ1
~マリネ液~
・ウスターソース 大さじ2
・ケチャップ 大さじ2
・バルサミコ酢(なければ普通の酢でOK) 大さじ4~5
・クミン 小さじ1
・カレー粉 小さじ1
・ガラムマサラ 小さじ2
・一味唐辛子 小さじ1/2
・にんにく 大さじ1
作り方
1.ひと口大にカットした豚肉をマリネ液に漬け込み、半日ほど冷蔵庫で寝かせる。
2.玉ねぎをみじんぎりにし、あめ色になるまで炒める。
3.スパイスを加え、香りが出るまで炒める。
4.マリネ液ごと豚肉を加え、色が変わるまで炒める。
5.ざく切りのトマトを加え、中火で肉に火が通るまで煮込む。
6.仕上げに酢を加え、塩と砂糖で味を調えて出来上がり。
この「ビンダルー」というカレーは、酢っぱ辛いカレーです。煮込めば煮込むほど酢の酸味がまろやかになるので、(暑いですが)じっくり煮込んで作ってください。
熱々のカレーにロックの「豊久仁純米金魚ラベル」がよく合いました。ロックにすることで香りがマイルドになるので、スパイスの香りも邪魔しませんよ。
番外編 甘いお酒に甘いものは合うのか
今回「ちょっと失敗したなぁ」と思った組み合わせも一応ご紹介しておきます。
それが甘辛いタレを絡めた肉団子……そのままで食べると美味しいんですが、甘い「豊久仁純米金魚ラベル」に合わせるとかえって甘さが強調されてしまって私の好みではありませんでした……。
若干豚肉の臭みも強くなるように思います。
さっぱりと味わいたい夏酒は、少し酸味が感じられるものと合わせるのがベストだと感じました。
夏酒ペアリングのコツとは?
前編の「會津龍が沢」と後編の「豊久仁純米金魚ラベル」は、片や淡麗で軽やか、片や甘くて濃厚と対照的な味わいでした。
それぞれのお酒に合わせていくつか料理を作れればベストなんですが、暑い中台所に立ち続けるのも酷ですし、できるだけ手間を掛けずにパパッと相性の良いおつまみを用意したいですよね。
夏酒の場合、秋冬に出てくる濃厚・芳醇なお酒と違い、サラッとしているお酒が多いです。なので、個人的にはあまり濃厚な味わいのものよりかは、素材の味を活かすあっさりとした料理の方が合うと感じています。
例えば、「冷やしトマト」。
トマトを切って、白だし・砂糖・酢を混ぜたタレに浸けてよく冷やす。これだけでトマトが立派なアテになります。
「アジのたたき」なども良いでしょう。薬味をたっぷり加えたタレでいただくのがベストです。
「きゅうりの浅漬け」は、一度きゅうりをサッと湯通しすることで味しみが良くなり、青臭さも取れます。
今年の暑い夏は、夏限定の日本酒と季節の味覚を合わせてさっぱりと楽しんでみてはいかがでしょうか?
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