暑い季節を楽しむ! エスニック料理と日本酒とのペアリング〜林智裕の「ウチにおいでよ!」Vol.15

夏に楽しみたいお酒と料理の組み合わせ。

2019.08.13

ローカルフード 日本酒

シェア ブックマーク LINEで送る

いやー、本当に暑っっついね!

今年は梅雨が長かったからすっかり忘れかけてたけど、夏ってこんなに暑かったんだねー。毎年毎年、おんなじこと言ってるような気もするけど。(*´Д`)

さて。とはいえ呑兵衛さんたるもの、四季折々を楽しんでこそ! がモットーですから。せっかくの夏なので、この暑さも楽しまなきゃソンソン! そういえば去年の記事では、岡山のクラフトジンをジントニックにして味わってみたり、旬の桃を使ってアレンジを加えた飲み方試してみたよね。冷凍スイーツとして加工された桃と一緒にヒンヤリ楽しんだり、スライスして皮ごといれた生桃と一緒に燗にしてみたり。

今年も去年に負けないくらいに、この暑さを楽しめるような、お酒の生かし方しちゃいましょ☆

 

─────────

 

さてさて。今年の夏を楽しむ最初の一杯目は、四国の徳島県から「阿波の香り すだち酎」。徳島の「すだち」果汁を使ったリキュールなんだけど、焼酎ではなく国産のウォッカがベースに使われているみたい。

これを炭酸で割って、炭酸が飛ばない程度に軽くステア(まぜまぜ)して…

カクテル「ウォッカ・リッキー」のすだち版みたいにしちゃいました。本当はウォッカとライムが定番なんだけど、すだちでもすっごく美味しいんだよー?

というわけで、まずは喉が渇いているので、いつも通り…

…乾杯! 毎日暑いなか、おつかれさまでーす! (*´▽`*)ノシ🍻☆

…!

くぅぅーーーっっ!

やっぱり、この爽快感、たまりませんね!

夏の暑さにはビールも最高だけど、たまにはこういうので乾杯ってのもいいよね。特に国産の、徳島のすだちをこうやって味わえるのだから、季節感とか旬みたいなのも感じさせてもらえるし。四季折々を楽しんでる!って感じにならない? (*´ω`*)

─────────

では喉も潤したところで、本格的にお酒いこっか。今年も、夏らしさを感じさせるように…ということで、この暑い時期に美味しい料理を用意してみたのです。お酒も、それにピッタリのものを合わせてみたよ。

 

おつまみはそれぞれ、鰰(ハタハタ)の南蛮漬け、海老アボカドサラダ、カレー風味唐揚げ。

爽やかな酸味と白身魚の柔らかな旨味、野菜のシャキシャキ食感が心地よい南蛮漬けの他、エスニックを感じさせるラインナップにしてみました♪

暑い季節には、暑い南の国の料理が良く似合います。やっぱり、食文化はそれぞれの地域の気候や文化と一緒に発達するものだからね。ここは異文化に敬意を払いつつ、ありがた~く頂いちゃいましょう。

…けど、そんな異国風の、エスニック料理にも日本酒って合うの???

ご安心くださいな。ちゃーんと、合う日本酒があるのです。炊き立てご飯が幅広いオカズに合うのと同じように、お米から造られている日本酒は元々ペアリングの守備範囲がとっても広いんだよね。ワインとかはペアリングやマリアージュでの合う・合わないがもっとハッキリ出てくるのだけどね。

そんな中でも、特に最近の日本酒は味や香りの幅がとっても広くなってきているから守備範囲がますます広がってるから、いろいろ試してみると面白いんだよー。

──────────

さて、ではではエスニック料理のスパイシーさに相性の良いお酒の手がかりとして。これはね、アルコールに限らず、実際にその料理に現地で合わせられている飲み物はどんなものかな? っていうのを考えてあげるとわかりやすいかも。

まずは、単純に暑いときに爽やかさを感じる飲み物としてわかりやすいのは炭酸とかかな。日本酒じゃないけど、ビールはもちろんジントニックなどのカクテルなんかがそうだし、たった今飲んだウォッカ・リッキーもそうだね。レストランでは白のスパークリングワインなども良く飲まれているから、日本酒の場合でも爽やかなスパークリングは、とりあえず選択肢として間違いないかも。

あとは他に、たとえばスパイスがたっぷりの辛いインド料理をイメージしてみると、レストランではラッシーとかチャイとか出てくるよね? どちらも「甘さがやや強め+飲み口や香りが爽やかさを出す+料理に負けない個性的な風味や味わいが際立つ」のが特徴。これらに近い特徴の日本酒を合わせてあげると、そうした飲み物の代わりとして、勝るとも劣らないくらいの相性を発揮してくれるの。辛さには甘さをあてる、という感じかな。

これが韓国料理みたいに唐辛子の辛さが強いものになると、今度はトロリとしたお酒もおすすめ。唐辛子からの刺激が適度に中和されて、辛さの中にある美味しさをより感じやすくしてくれる。マッコリがそうであるように、濁り酒で、爽やかな酸味がありつつアルコール度数やや低めのものなんかを合わせるとちょうどよいね。ノンアルコールなら、ちょっと薄めに作った冷やし甘酒なんかもおすすめだよ。韓国でも「シッケ」っていう似た飲み物飲まれているし。まあ、韓国は南国じゃないけどスパイシーつながりで一応、参考までに。

あとは、たとえばヴェトナム料理やタイ料理などの東南アジア料理を思い出してみると香草の風味や酸味を生かした料理が多いから、そうした料理の個性にかぶせる感じに風味が高くジューシな生酒や、酸味が強めのお酒を合わせるのもいいね。たとえば料理に使われる香草類の強い香りは料理の生臭さを消してくれるだけじゃなく、生酒の持つ粗っぽさを適度に中和してより純粋な爽やかさを引き立ててくれるよ。

そのほか、料理自体にたとえばココナッツ風味などでほんのり甘さが加えられている場合、この時期なら去年やった桃のサングリアを当ててあげたり、ちょっと熟成した古酒や力強さを感じさせる生酛や山廃のお酒なんかを常温で楽しむのも良いかもしれない。桃の甘い香りとお酒の熟成香ってなんかぜんぜん別物みたいに思えるかもだけど、実はココナッツってどっちの香りもそれぞれかなり引き立ててくれるんだよね。( *´艸`)

…という感じに、エスニック料理に日本酒合わせていこうとしても、そんなに難しくなく結構それぞれイケちゃうのです♪

それを考えると、去年の記事で取り上げた飲み方は全部、そのままエスニック料理にも使えちゃうね。暑い時期に美味しいお酒楽しもうとすると、自然と暑い地域の料理に合う取り合わせになっちゃうのかも。(笑) もちろん、今回合わせたお酒も、そういう美味しさを楽しませてくれる日本酒だよ。

今回、最初に用意した日本酒は2本。福島県郡山市仁井田本家「穏 夏の純米吟醸 中汲み」と高知県香美市アリサワ酒造「文佳人 夏純吟」。どちらも季節限定の味わいですよ♪

最初の一本目は、仁井田本家さんの「穏」。仁井田さんのお酒は結構ウチではヘビーローテーションかもしれないね。今回の夏の酒は、ほのかな微炭酸感を感じさせるスッキリ爽やかな味わい。後味がほんのり優しく甘い。

このお酒、どことなく、むか~し子供のころ、しかもかなり小さいときかな。夏祭りの屋台で買ってもらった、昔ながらのラムネみたいな雰囲気あるかも?

もちろん、実際の味はもっと繊細で高級感あるし、後味の甘さも全然ベタベタしないのだけど、なんていうのかな。

あの頃お祭りで見たラムネがすっごく美味しそうにキラキラに見えて、どうしても飲みたくてさ。ねだって買ってもらったラムネの、氷水から引き揚げられたばかりのヒンヤリ濡れた瓶の水滴を拭く仕草とか。ウキウキしながら飲んだ瞬間のしあわせな気分とか。周りで鳴いてたセミの声やお祭りの太鼓の音、艶やかな浴衣とか。そんな夏の記憶を思い出させてくれるようなお酒、なんて言ったら伝わるかなぁ? ちょうど、ラベルの金魚も屋台の金魚すくいみたいだしね。

でも、こういう特徴のお酒って、さっき言ったような「エスニック料理に合わせる」って点からも実はポイント高いんだよ。

もう一本、高知の「文佳人 夏純吟」。こっちは、蔵付き酵母とかいろいろ、妖怪にされてシールになってる。なんかこっちも、お化け屋敷とか肝試しとか、子どもの頃を思い出しちゃいそう。( *´艸`)

これも味わいは、爽やかでスッキリ。そしてほんのり甘くて独特の香りを感じさせる一本だよ。食前酒みたいに、お酒単品でも十分美味しくて個性立って楽しめるんだけど、今回みたいなエスニック料理に合わせてあげると、これも絶品の食中酒になっちゃう。

じゃあ、とりあえずそれぞれのお酒注ぐから飲んでみて? その後、料理に合わせながら楽しんでみてね。(*´▽`*)

あ、そういえばもう一本忘れてた!

甘さは控えめで昔ながらの日本酒「らしさ」がありつつも、爽やかさと少し強めの酸味、そしてキレの良さがあるお酒も一本用意しておくね。これは福島の阿武隈高地、平田村で宝暦元年から続く若清水酒造さんから「特別純米 29BY漕搾り」。

福島県内でもあまり知られていない地酒なんだけど、この適度にキレのある飲みやすさと軽く熟成させたからこその豊かな旨味、飲み飽きなさ、そして酸っぱくないけど心地よく後引く酸味などでクセになる一本で、結構個性が立つお酒。ボクのお気に入りの一本でもあるよ。これも、昔ながらの日本酒「らしさ」を適度に残しながらも、その酸味がエスニック料理と絶妙な相性になる「夏におすすめの一本」としてイチオシしておきたいかな。( *´艸`)

 

────────────

 

どうだった? どれもそのまま飲んでも、おつまみと合わせてみても美味しかったでしょ?

ん? 美味しいけど、おつまみにもっとエスニック風味が欲しかったって?

ふふ。なので、ここからが本番? というか、今回はエスニック風味をよりお手軽に楽しめる調味料も用意してみたんだよね。これがこの2本。

それが、このシラチャソースとサテ・トムソース。どっちもここ最近、「美味しい!」とブームになってきているソースなんだけど、メディアロケットではすでにシラチャソースがアメリカで流行していた2年くらい前にいちはやく記事で取り上げられてたんだよね。さすがだね。(´・ω・`)

今回のシラチャソースはアメリカの本家と違うブランドなので、ちょっぴり味弱めだけどね。それでもやっぱり美味しいよ?詳しい味はボクが語るよりも、この過去記事読んでもらったほうがいいかも。

あと、こっちのサテ・トムは「ベトナム版・食べるラー油」みたいな感じ。レモングラスと海老とナンプラー風味が効いた調味料で、これをかけるだけで一気に本場エスニック感が高まっちゃう。この時期、ありがたいことにいっぱい貰いすぎてほぼ無限に家にあるナスとかインゲン豆など(これって田舎だけかな(;´・ω・))夏野菜の料理も、これをかけるだけでマンネリ化しにくく、めちゃくちゃ美味しくなっちゃう。爽やかな香味と辛味、酸味。そして海老と魚醤の旨味が混じりあって、絶品! だよ。

────────

そういえば気が付いてた? 今回は、酒器も夏らしく涼しげなもので合わせてたんだ。それぞれのお酒の銘柄に合わせて、江戸切子とか、津軽びいどろとか。風鈴とかのイメージあるからかもだけど、こういう和風のガラス細工って夏が似合うと思わない? 日本の夏!って感じ。

そういえば、せっかくの夏なのに今年はまだ花火大会とか行ってなかったなー。花火をみながら、こういう色とりどりの和ガラスでお酒を愉しむなんてのもなかなかよさげ。

あ、でも遠くの花火見上げなくても、ウチにも手持ち花火のセットがあったはず? あれ? でも去年のしまいっぱなしのだったかな…。

湿気ってるかも知れないけど、この一杯終わったら一緒にやってみる? ( *´艸`)

林 智裕 (Hayashi Tomohiro)

フリーランスライター。1979年生まれ。いわき市出身、福島市育ち。 現在 【Media Rocket】の他、福島の美酒と美肴のマリアージュを毎月お届けする【fukunomo(ふくのも)】、地域の魅力やグルメ情報を発信する【福島TRIP】など複数メディアにて連載中。 また、【SYNODOS (シノドス)】【ダイヤモンドオンライン】【Wedge】【現代ビジネス】などでは不定期でビジネス向けの記事を執筆。 書籍『福島第一原発廃炉図鑑』(開沼博・編、太田出版)ではコラムの執筆を担当。

シェア ブックマーク LINEで送る

同カテゴリ記事

もっと見る now loading

ABOUTメディアロケットとは

メディアロケットは、福島を中心とした「ローカルな食」の魅力をお伝えし、楽しんでいただくメディアです。 → 続きを読む

メディアロケットで
自社の商品を
PRしたい方はこちら

人気ランキング TOP5

  • 月刊DOCG

    貧しい土地から生まれた偉大なワイン〜産地をめぐるワインつきマガジン「月刊DOCG」レビュー…

    2020.02.26

  • 海外の食文化

    サルデーニャの羊乳チーズ「ペコリーノ・サルド」の老舗工房へ〜イタリア生産地をめぐる旅④

    2019.05.08

  • 海外の食文化

    甘口ワインは「家飲み」をグレードアップする秘密兵器だ〜「ラザグレン・マスカット」レビュー

    2020.03.13

  • 月刊DOCG

    目にも美しい高級プロセッコを楽しむ〜産地をめぐるワインつきマガジン「月刊DOCG」レビュー…

    2019.06.30

  • 日本酒

    「天明」「一生青春」の曙酒造の蔵開きに行ってみた!

    2019.11.15

アーカイブ

  • Instagram
  • Twitter
  • YouTube