熟成ワインにも似た魅力、今が旬の「ひやおろし」とチーズのペアリング〜林智裕の「ウチにおいでよ!」Vol.16

ワイン好き必見!?秋が旬の日本酒「ひやおろし」。熟成された日本酒の魅力に迫る。

2019.09.13

Sake ローカルフード 日本酒

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9月になって、朝晩涼しい日が続いてきたねー。福島の近辺だと、なんだかすっかり秋模様?を感じるかも。

秋と言えばお月見であったり、紅葉であったり。風流を感じさせるようなことが目白押し。特に日本酒はこの時期、夏の間にひんやりとした蔵で熟成をかけた日本酒「ひやおろし」がそれぞれの蔵から解禁されるよ。(*´▽`*)

「ひやおろし」というのは、秋の「旬」とも言えるお酒でね、新酒が劣化しないように春先に一度火入れをしたお酒を夏の間にじっくりと貯蔵して熟成させ、秋に二回目の火入れを行わず「冷や」のままで「卸す」お酒。江戸時代から続く風習と言われているんだって。

火入れが一回に抑えられているから、爽快感と飲み口の良さが残りつつも、蔵でのひんやりとした低温での熟成によって「粗」がなくなり、穏やかな味わいと優しい旨味に仕立てられる、秋の味覚にもぴったりのお酒。

これって、なんていうのかな。言ってみれば樽で熟成させたワインみたいな楽しみ方に似ているのかも。

よく知られている通り、たとえばワインの一部には古くなった方が美味しいものって結構あってさ。そういうワインを何年も寝かせることで枯草やなめし皮にも似た独特の良い香りが漂ってきて、味もまろやかで美味しくなるんだよねー。…や、もちろん、実際の枯草やなめし皮そのものが美味しい訳じゃないけどね。(笑)

でも熟成させたワインからこの匂い漂ってくると、なぜかとっても心地よく感じられるから不思議だよね。

「ひやおろし」には、出来立ての新鮮な味わいが魅力的な新酒とはまた別に、熟成ならではのやわらかでまろやかな飲み口と落ち着いた味わいを感じさせてくれる、かけがえのない魅力があるんだよね。熟成させることによって、各蔵ごとの個性の違いなんかもより分かりやすくなるような感じもするし。

もっとも、日本酒は更に熟成を進めると今度は琥珀色の「古酒」になって、まるで紹興酒にも似た全然違う味わいにもなっちゃう。こういうのも日本酒の奥の深さだね。

熟成させたワインにもちょっぴり似た感覚がある「ひやおろし」は、実は日本酒の中でもボクは特に大好物だったりして。今から干支一回り昔くらい前の頃には一時期、毎日ワインばっかり飲んでたからかな?

…というわけで、今回は出来立ての新酒とはまた違う魅力があるこの「ひやおろし」を存分に楽しんじゃいましょ♪ ( *´艸`)

今日用意したのは、どちらも福島県のお酒。会津地方の喜多方市から「会津ほまれ純米吟醸ひやおろし」と、二本松市奥の松から「特別純米原酒ひやおろし」。

では今回も、それぞれをおちょこに注ぎまして…

 

乾杯~☆

いつもおつかれさまです♪ (∩´∀`)∩

 

会津ほまれのひやおろしは、使われている酒米が山田錦100%。

強い香りと淡く上品な味わいを出しやすい、酒米の王様みたいな品種。鑑評会出品酒にも一番使われているような高級米だね。そんなにお高いお酒じゃないのに、なんだか贅沢。

会津ほまれは、とっても眼鏡が似合うフリーアナウンサーの唐橋ユミさんのご実家でもあり、2015年に世界最大規模の品評会インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)の日本酒部門で世界一といわれる称号「チャンピオン・サケ」を輩出したようなスゴい酒蔵でもあります。

確かな技術がありながら、ここのお酒ってとってもリーズナブルなものが多くてね。… こんなに上質のお酒が本当にこの値段でいいの?? うわっ…私の支払い、安すぎ…? なんて、一時期流行ったネット広告のセリフみたいなの出ちゃうようなお酒がたくさん。学生時代には大変お世話になりました。。。あ、今も大して変わらないか。( *´艸`)

今回の「会津ほまれ純米吟醸ひやおろし」は福島の酒としては珍しく、良く熟れたジューシーなパイナップルのような香りが特徴的だね。しかし、熟成されているからこその、落ち着いた佇まいが味の輪郭をキリっと際立たせるし、味わいに奥行きを感じさせる。ひやおろしの良さがすごく出てるねー。

 

続いては二本松、奥の松の特別純米原酒ひやおろし。 こちらは香り控え目ながらも旨味とまろみが特徴的。

食中酒の理想というか、まるで寿司の名店のシャリのような、落ち着いた風格と旨味を感じさせる逸品なのは流石というか。 お刺身や焼き魚にも合うから、秋の秋刀魚なんかにもバッチリ!って感じ。

こちらの奥の松も、2018年には会津ほまれ同様にインターナショナル・ワイン・チャレンジで世界一の称号「チャンピオン・サケ」を獲得した蔵。今回選んだ二つの「ひやおろし」はどちらも「世界一」の栄誉に輝いたことがあるスゴい蔵のものにしてみました。こういうのが当たり前に飲めるのって、日本酒の世界的な産地の一つに暮らしているからこその贅沢かもしれないね。

そしてもう一本おまけに。同じく福島県の天栄村、寿々乃井酒造店から「寿月特別純米酒ひやおろし」。

この寿々乃井の「ひやおろし」は去年も飲んでめちゃくちゃハマったお気に入りなんだけど、華やかながらもどこか陰のある憂いを帯びた気品と色気、香り、味。 そして飲み飽きさせない優しさとさり気なさがとっても魅力的。たとえるならば、竹久夢二が描く絵画にも似た雰囲気?のような感じかな。ボクが求めている「ひやおろし」の理想みたいな味わい。

その神秘的な味わいはワインともまた似て異なるのだけれど、しかしこのお酒をワインのような感覚でも楽しませてくれるものなんだよね。

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さて、今回合わせるおつまみだけど、いま飲んだ「ひやおろし」は、それぞれタイプが違いながらも少し寝かせたワインにも似た奥行きをもったお酒同士。なので、ワインで楽しむお供に王道のおつまみであるチーズをいろいろ合わせてみちゃいました☆

結構この中でポピュラーなのは、チェダーチーズかなぁ?

チェダーはもともとイギリス生まれで、世界中でも最も生産量が多いチーズなんだとか。身が詰まっていて、味は強めだけどクセは少なく、ちょっと酸味があって、チーズの王道って感じ。他のチーズとのブレンドに使われてたりすることもあるよね。

このチーズは単品でも結構味が強めだから、合わせる日本酒も重厚な味わいよりも、軽快で爽やかな感じのものが合うかな。多少の吟醸香があっても面白いけど、必ずしもなくてもイケる感じ。飲み口がなめらかで心地良い「ひやおろし」とは、相当相性いいはず。という訳で、ちょっと合わせてみて?

日本酒、特に「ひやおろし」とチーズ、結構イケるでしょ? ( *´艸`)

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次に、これは日本では昔からポピュラーな「プロセスチーズ」の代表? として、十勝スマートチーズ。

プロセスチーズは、乳化剤などを加えて加熱処理をしてチーズの追加熟成を止めたチーズだね。味わいのクセをかなり抑えつつ品質と保存性を安定させた扱いやすいもので、ボクらの世代の日本人が昔から食べてるチーズといえば、プロセスチーズばっかりだった気がする。

でも最近のプロセスチーズは、昔以上にとっても美味しくなってきたと思うんだ。特に今回のこれは、パルメザンチーズをブレンドさせてるんだって。パルメザンはパスタへのトッピングでもおなじみの、イタリア生まれのチーズだね。粉チーズにしてトッピングするだけじゃなくて、そのまま食べても美味しいんだよね。

 

これは、コクがありながらも味は穏やかなので、ちょっと香りが強めのタイプの日本酒を合わせてあげるとよりオススメかな。たとえば「日本酒の吟醸香とのペアリング」なんかは、チーズという外国生まれの食材に新しい可能性を増やしてくれた! と言っても過言ではないかも?

今回の「会津ほまれ」のひやおろしの穏やかでややフルーティな吟醸香と合わせても、まるで瑞々しいフルーツの盛り合わせにチーズトッピングをしていただくような豪華さも感じられる感じ。コクと香り、そしてジューシーさが交じり合って、とっても心地よいでしょ?

そういえば今日は用意してなかったけど、日本でも割とポピュラーになってる「カマンベールチーズ」にも、こういう香り高い日本酒が絶妙に相性良いから試してみてね。(*’ω’*)

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続いては、これもイタリア生まれのモッツァレラチーズ。淡泊でフレッシュな食感で、トマトなどに合わせるのが王道。最近は日本でも多くのメーカーが作っているからポピュラーなチーズだね。

でも30年前とかはあんまり見かけなくて、ボクが初めてこのチーズを知ったのは小学生の頃に読んだ漫画雑誌から。「どんな味なんだろう??」って、当時すごく興味深々だった夢のチーズ? かな。本来は水牛の乳から作られるんだって。

このチーズは、単品だととても淡泊なので、ペアリングやマリアージュで表情を与えてあげるとより美味しいね。トマトを加えてジューシーな感じにしたり、去年ウチでもやったように「桃モッツァレラ」なんかにして香りや酸味を追加してあげても良いし。(↓ 去年の桃モッツァレラ。ボクの場合は、レモンビネガー(レモン酢)を使って、胡椒は粗挽き。塩は岩塩で、出来ればアメリカテキサス州のモートンロックソルトを合わせてます)

合わせるお酒はモッツァレラチーズと組み合わせた食材次第なところもあるけど、モッツァレラ自体がフレッシュなチーズだから、軽い熟成感を楽しむひやおろしだけに限らず、新酒や生酒でも最高かも。ワインでいうところの、ボジョレヌーボーに合わせるおつまみって感じかな。比較的、軽やかな味わいの日本酒全般と合わせやすいと思うな。

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続いては、フランスのミモレットとスイスのグリエール。ちょっと古い話になっちゃうのかな? 森喜朗元首相がむかし、「干からびたチーズが美味しかった」と評した高級チーズ。カラスミにも似た濃厚なコク味と独特な風味が魅力的で、ボクの大好物でもあります。

グリエールも、ミモレットに少し似た濃厚な味わいだけど、マイルドで、結構強めのナッツみたいな風味があって、とっても食べやすいチーズ。

この二つはチェダーに比べると味の強さとか酸味が少し控えめで優しく、チーズそのものの素朴な旨味や、甘く優しい微香と個性の余韻をじっくりと味わえるから、お酒とチーズとをゆっくりと長く楽しむのに向いていると思うんだよね。

爽やかな香りと落ち着いたコクを併せ持った「ひやおろし」には、特にこれらのチーズと合わせるのがボクは好き。日本酒の爽やかさと同時に、豊かなコクや香りの余韻が沁みわたっていく感じがたまらなく好みなんだよね。(*´▽`*)

これは、もちろんワインの味とは違うんだけど、それでもまるで、少し枯草やなめし皮のような熟成香を出し始めたようなボルドーの赤ワインと合わせたときにも似た心地よさに似た感覚があるから不思議。やっぱり、違うお酒を飲んでも味の好みは似てしまうのかもね。

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今回は、9月からが「旬」になるひやおろしをワインみたいに使って楽しんでみたけど、どうだった?

もっとも、「ひやおろし」はチーズの他にもいろんな秋の味覚と合わせて美味しい、この時期ならではの贅沢だからね。いろんなものと組み合わせてあげると、結構以外な発見が楽しめるかも?

せっかくだから他の酒蔵さんの「ひやおろし」も合わせて、いろいろ組み合わせも試してみたいところだよね。とても食べきれないけど。これこそ「食欲の秋」そのものかな?

なーんて。( *´艸`)

林 智裕 (Hayashi Tomohiro)

フリーランスライター。1979年生まれ。いわき市出身、福島市育ち。 現在 【Media Rocket】の他、福島の美酒と美肴のマリアージュを毎月お届けする【fukunomo(ふくのも)】、地域の魅力やグルメ情報を発信する【福島TRIP】など複数メディアにて連載中。 また、【SYNODOS (シノドス)】【ダイヤモンドオンライン】【Wedge】【現代ビジネス】などでは不定期でビジネス向けの記事を執筆。 書籍『福島第一原発廃炉図鑑』(開沼博・編、太田出版)ではコラムの執筆を担当。

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