円熟の秋の夜長には円熟のお酒、ウィスキーを。(前編・世界の5大ウィスキー)〜林智裕の「ウチにおいでよ!」Vol.17

日本全国ウイスキー好きの皆様へ

2019.10.17

海外の食文化

シェア ブックマーク LINEで送る

10月になって、ずいぶん秋めいてきたね。こっちは、朝晩はもう寒いくらい。あっという間に冬になってしまいそう。

秋は稔りの季節。円熟の味わいが似合う季節でもあります。…という訳で前回は日本酒の「円熟」をテーマに「ひやおろし」を楽しんでみたけど、今回は同じく円熟でも久しぶりに洋酒、ウィスキーを楽しんでみたいと思います! たまには日本酒以外のお酒もいいよね。(*´▽`*)

という訳で、とりあえずウチにおいてあるウィスキーのストックを引っ張り出してみました。ちょっと偏ってるかもしれないけど。

 

今、ここにあるのはイギリス、スコットランドの「スコッチウィスキー」と日本の「ジャパニーズウィスキー」が中心。あとは、これは去年も飲んだと思うけど台湾のウィスキーが一本だね。ほかにももうちょっとだけ手持ちはあるけど、とり急ぎ。

結構知ってる人が多いと思うけど、ウィスキーには世界には産地ごとに「5大ウィスキー」なんて言われるものがあってね。アイルランドと北アイルランド産の「アイリッシュウィスキー」、イギリスのスコットランド産の「スコッチウィスキー」、アメリカの「アメリカンウィスキー」、カナダの「カナディアンウィスキー」、日本の「ジャパニーズウィスキー」がそれぞれに該当するんだって。

…と、日本では良く聞くけど、海外でも本当にそういう風に言われているのかな? 誰が言い始めたのかもボクには実際のところはよくわからないんだけどね。

もっとも、「5大ウィスキー」と世界で本当に呼ばれているかどうかはともかく、挙げられた5つの産地のウィスキーがいずれも名実共に高品質で、それぞれに特徴を持っているのは確か。とりあえずおさらい的に、この5つの産地のウィスキーをザックリと説明してみよっか。(*´▽`*)

・アイリッシュウィスキー( Irish Whiskey)

アイルランド、及びイギリスの北アイルランドで造られているウィスキーで、ウィスキーの発祥という説もあるお酒だね。古代ゲール語で「命の水」を意味する「ウスケボー」?という言葉から「ウィスキー」に変わっていったのだとか。

スコッチウィスキーでおなじみのピート(泥炭)香を付けずに、大麦麦芽に未成熟の大麦、他にはオート麦、小麦、ライ麦などを混ぜたものが伝統的なアイリッシュウィスキーの原料。これを単式ポットスチルで3回蒸留して造り出し、とってもクリアな味わいにするのがアイリッシュの王道だね。ウィスキーを初めて飲む人にも比較的おすすめしやすいかも知れないかな。

20世紀初頭くらいまではアイリッシュが世界のウィスキーの主流だったものの、アメリカの禁酒法時代やアイルランド独立に伴う影響で輸出量が激減して、蒸留所の数も大幅に減らしてしまったみたい。

代表的なブランドは、ジェムソン(JAMESON)タラモアデュー(TULLAMORE DEW)あたり。

(ジェムソン公式HPより)

ちなみに、スコッチはじめとした、世界の他の産地のウィスキーのほとんどが英語で一般的には[Whisky]と表記するのに対して、アイリッシュウィスキーは[Whiskey]と表記されるって知ってた? あと、アメリカのバーボンウィスキーにも[Whiskey]表記が見られるけど、これはアイルランドからの移民系からの影響なんだとか。

そういえば、アイリッシュウィスキーにまつわる移民系のエピソードと言えばもう一つ、フランスで有名なコニャックブランデーメーカーのヘネシー創業者もアイルランド系の出自らしいんだよね。1998年くらい? だったかな。ヘネシーが自らの出自に敬意を払い、「ヘネシーナジェーナ」(Hennessy NA-GEANNA)っていうアイリッシュウィスキーを造ったことあったんだよね。もう、とっくに終売になっている希少なお酒だけど、ボクはあれがとっても好きだったなぁ。また造ってくれないかな…。

・スコッチウィスキー(Scotch Whisky)

いわずと知れた、ウィスキーの王道。なんでも、世界で現在生産されているウィスキーの7割近くがスコッチウィスキーなんだとか!

イギリスのスコットランドで造られるウィスキーで、独特のピート(泥炭)の香りが漂うウィスキー。…とはいえ個性もかなり細分化していて、同じスコットランドでも地域によって特徴がかなり違ってくるんだよね。

スコットランドの中でも、スペイサイド、ハイランド、ローランド、キャンベルタウン、アイランズ、アイラ島などで分類されているのは、日本酒の杜氏が丹波系、南部系、越後系なんかに分かれているのにも似ているのかも?

ざっくり産地ごとにわけると

  • スペイサイド(Speyside):スコットランドの北東部で、香りや風味が華やか。非常にバランス良く洗練された味わいが多く、日本でも有名なマッカランやグレンフィディックなどはこの地域のお酒。
  • ハイランド(Highland):スコットランド北部で、その名の通り標高が高めで荒涼とした険しく雄大な自然のある地域。蒸留所の数も多いために個性も多様で、飲み比べが楽しい。
  • ローランド(Lowland):スコットランド南部で、イングランドとも隣接した穏やかな気候風土の地域。ウィスキーも穏やかでクセの少ないものが多く、ブレンデッドウィスキー用に使うグレーンウィスキー(とうもろこし、ライ麦、小麦などが主原料)の主要産地でもある。
  • キャンベルタウン(Campbeltown):スコットランド南西部の小さな港町。今では蒸留所が激減してしまったものの、かつてはスコッチの代表的な産地。港町らしく少し塩のような旨味と風味。華やかな香りも感じさせる。日本のウィスキーの父である、マッサンこと竹鶴政孝さんがかつて留学してウィスキー造りを学んだのも、このキャンベルタウンだったとか。
  • アイランズ(Islands):スコットランドの周りにあるたくさんの島々のウィスキー。スコットランド周辺には、島がかなり多い。「島」でまとめられているものの、ハイランドより北のオークニー諸島もあれば、西のスカイ島、ルイス島や南西のマル島、ジュラ島、アラン島などもあって、それぞれに個性がかなり違う。
  • アイラ(Islay):スコットランドから西、アイルランドから見て北東にあるアイラ島産のウィスキー。変態的(!)なまでに超スモーキーでピーティなものや、磯や海藻と病院の薬品を合わせたような香りの、超がつくほど個性的な銘柄もある。好き嫌いが判れるものの、大概は病みつきになりがち。

…みたいな感じかな? あくまでも、ボクの個人的な感覚だけどね。

これだけの多彩な産地のそれぞれの蒸留所から出されているモルト(大麦)ウィスキーが「シングルモルト」って呼ばれていて、これらのシングルモルト、さらにはグレーンウィスキーなどの多彩な個性同士をブレンダーが組み合わせて、それぞれの長所をハーモニーのように掛け合わせたものが「ブレンデッドウィスキー」と呼ばれるものになるよ。コーヒーを、豆の産地ごとに単独で楽しむのと、ブレンドコーヒーで楽しむ違いとに似ているかも知れないね。

ちなみに、最初に見てもらったお酒をもっかい見てみると、一枚目の左側にあったラガヴーリン(LAGAVULIN)16年が「アイラ」ノッカンドゥ(KNOCKANDO)12年が「スペイサイド」ハイランドパーク(HIGHLANDPARK)12年が、「ハイランド」…と思わせておいて、実はオークニー諸島のメインランド島で作られる「アイランド」。(昔は、アイランドやスペイサイドも「ハイランド」に分類されていたらしいよ)

そして、右側のこっちのバランタイン(Ballantine’s)21年シーバスロイヤルサルート(CHIVAS ROYAL SALUTE)21年が、ブレンデッドウィスキー。ブレンデッドウィスキーに書かれた年数は、ブレンドに使われたシングルモルトウィスキーの中で、一番若いものの年数が表記されるルールになっているから、これらに使われたモルトウィスキーは全て、最低でも21年以上樽で熟成させたという意味。21年は、結構高級な部類になるね。

どれもすっごく魅力的なお酒になるのだけど、詳しくは後にして、次いってみよっか。(∩´∀`)∩

・アメリカンウィスキー(American Whiskey)

次は、アメリカのウィスキー。1789年のアメリカ合衆国発足の年に初めて造られたと言われているお酒、ケンタッキー州バーボン郡生まれのバーボンウィスキー(Bourbon Whiskey)などが中心だね。

さっきもお話したように、アメリカのウィスキーはアイルランド由来で[Whiskey]表記が多め。でも、たとえばバーボンウィスキーでも、メーカーズマーク(Maker’s Mark)はスコットランド系移民が造ったから[Whisky]だったり。

アメリカンウィスキーの原料の中心はトウモロコシと大麦、ライ麦、小麦など。これを連続式蒸留機で蒸留して、たとえばバーボンの場合はホワイトオーク樽の中身を焼いて焦がした新樽を使って熟成させたもの。焦がした樽と原料由来の深くコクのある味と香りがすっごく特徴的で、同じウィスキーでもスコッチとは全然違う味になるんだよ。

ボクはバーボンでもI.Wハーパーとかブラントンとか色々飲むけど、このワイルドターキー8年が、特にバーボン「らしさ」みたいなのを強く感じたいときにはおすすめかな。

ちょっと高めのアルコール度数(50.5%)でガツンとくる強い香りと、ドッシリしたコクの深さ。でも、口当たりはとってもなめらかでシルキー。いつ飲んでも美味しいけれど、ボクの場合はたとえば気分が落ち込みがちな夜にじっくり飲むと、この陶酔感が心地よかったり。

・カナディアンウィスキー(Canadian Whisky)

カナダで造られているウィスキーで、アメリカンウィスキーと同様に主にトウモロコシや大麦を原料にしたもの。ただし、原料がトウモロコシの落ち着いた味わいの蒸留酒(ベースウィスキー)と、香り付けを担うために大麦などを中心にした蒸留酒(フレーバリングウィスキー)とを別々に造って、混ぜ合わせてから熟成をするという特徴があるんだ。それもあって、コクがありつつも香りなどのバランスが良くて、初心者でも飲みやすかったり、カクテルにも使いやすいウィスキーに仕上がりやすいと言われているよ。

アメリカでかつて禁酒法が施行されていた時代には、陸続きのカナダからウィスキーを密輸する人が後を絶たなかったらしく、その時期にカナダ独特のウィスキーとして発展したんだって。

個性の強さを感じやすいアメリカンウィスキーと、穏やかで飲みやすいカナディアンウィスキー。気分やTPOでそれぞれに飲み分けしやすいこともあって、カナディアンは今でもアメリカ国内でかなり飲まれているのだとか。

日本だと、カナディアンクラブ(Canadian Club)とかクラウンローヤル(Crown Royal)あたりが有名かな。

サントリーHPより)

─────────────

 

あ、もうずいぶん話し込んじゃった。ウィスキーは、話はじめるとなかなか止まらないね。( *´艸`)

次回は引き続き、残る1つのジャパニーズなどの特徴と、ウィスキーのいろんな楽しみ方に触れていってみるつもり。

 

遅くなっちゃったけど、とりあえず飲もっか。じゃあ、乾杯! 今日もお疲れさま~☆ (@^ー^)/∀☆∀\(^ー^@) 

林 智裕 (Hayashi Tomohiro)

フリーランスライター。1979年生まれ。いわき市出身、福島市育ち。 現在 【Media Rocket】の他、福島の美酒と美肴のマリアージュを毎月お届けする【fukunomo(ふくのも)】、地域の魅力やグルメ情報を発信する【福島TRIP】など複数メディアにて連載中。 また、【SYNODOS (シノドス)】【ダイヤモンドオンライン】【Wedge】【現代ビジネス】などでは不定期でビジネス向けの記事を執筆。 書籍『福島第一原発廃炉図鑑』(開沼博・編、太田出版)ではコラムの執筆を担当。

シェア ブックマーク LINEで送る

同カテゴリ記事

もっと見る now loading

ABOUTメディアロケットとは

メディアロケットは、福島を中心とした「ローカルな食」の魅力をお伝えし、楽しんでいただくメディアです。 → 続きを読む

メディアロケットで
自社の商品を
PRしたい方はこちら

人気ランキング TOP5

  • ローカルフード

    「夜の果樹園 in ふくしま」〜ライトアップした桃畑で行うディナーを7月28日(日)に開催

    2019.06.27

  • 低温調理

    低温調理のステーキと普通に焼いたステーキ、同じ条件で味を比べてみました

    2018.01.11

  • Sake

    榮川酒造「會津龍が沢 純米大吟醸」 ~夏酒ペアリングレシピ(前編)

    2019.07.06

  • 月刊DOCG

    目にも美しい高級プロセッコを楽しむ〜産地をめぐるワインつきマガジン「月刊DOCG」レビュー…

    2019.06.30

  • Sake

    「金水晶大吟醸」がG20大阪サミットに採用

    2019.07.03

アーカイブ

  • Instagram
  • Twitter
  • YouTube