秋の夜長にそっと寄り添う甘美なレッチョート・ディ・ソアヴェ〜産地をめぐるワインつきマガジン「月刊DOCG」レビューVol.05
イタリア白の代表格「ソアヴェ」の底力
2019.11.30
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■イタリアの白といえば「ソアヴェ」
今回、編集長からバトンを受けてレビューを担当しますhassyです。
もともと、料理好きが高じてワインに興味を持ったのですが、さらに今年はより本格的に勉強しまして、ワインエキスパート試験にもチャレンジ。
なんとかパスしまして、今回の御用命を仰せつかりました。
さて、そんな私にとって、ソアヴェと言えば、学生時代のアルバイト先の思い出とほぼ重なります。
当時、板橋区の住宅街で一人暮らしをしていた私は、近所にできたイタリアンレストランのアルバイト募集の張り紙を見つけ、すぐさま店の扉を叩きました。
ちょうど時代的にはイタメシブーム到来の頃。そろそろパスタやピッツア以外のイタリア料理を知りたかったし、食事と一緒にワインを楽しむ大人たちの姿が妙に眩しかったのです。
特にワインをたしなむ大人の女性は、ビールやサワーを飲むそれとは一線を画す、憧れの存在でした。
アルバイトはめでたく採用となり、30席弱の小さな店ではキッチンの補助もホールも兼ね、当然、ワインのサーブも範疇でした。その店に置いてあったワインはカジュアルレストランということもあり、それほど多くはなく、フランス、イタリア、ドイツなどのメジャーどころが7~8本。その中の1本が「ソアヴェ」でした。
記憶をたどると、そのソアヴェは「ソアヴェ・クラシコ」であり、今回の「ソアヴェ・スーペリオーレ」ではなかったです。しかしながら、その後続くワイン人生で初めて触れた記念すべきイタリアワインが「ソアヴェ」でした。
さて、そのソアヴェ(地区)はヴェネツィアで有名なイタリア北東部、ヴェネト州(Veneto)にあります。ヴェネト州はイタリアの州別ワイン生産量のトップクラスを誇る一大ワイン生産地。
そのヴェネト州の西部、ヴェローナの東にソアヴェ地区があります。ヴェローナからヴェネツィアに向かう途中にあるソアヴェの古城を中心に、ブドウ畑が広がっています。
ソアヴェ地区は火山性土壌に石灰質土壌が混ざった土壌で、気候的には温度差が激しく、ブドウのアロマの形成に良い影響を及ぼすと言われています。
■イタリア原産の白ワイン用ブドウ品種「ガルガーネガ」
ソアヴェは非常にポピュラーなワインですが、使うブドウ品種はイタリア原産の品種「ガルガーネガ」。ガルガーネガの房は全長30㎝以上にもなり、棚仕立てで栽培されます。一般的な味わいは豊富なミネラルと強めの酸を特徴とし、柑橘果実やシトラスのアロマを感じるすっきりとした味わいのワインに仕上げることが多いそう。
しかし、これは前述のソアヴェDOCのことであり、「ソアヴェ・スーペリオーレ」にはまた違った印象があります。
「ソアヴェ・スーペリオーレDOCG」は、DOCよりアルコール度数が高く(12%以上)、熟成期間も長く(2年以上)することが義務づけられています。ゆえに、とても優雅で複雑な味わいが特徴。ソアヴェが共通的に持つミネラル感はありつつ、洋ナシ、アーモンドのようなコクのある香りとボディのふくよかさがあります。
付属の冊子にある「アペリティフとして気軽に飲むよりは、じっくりと料理と共に楽しみたいワイン」という言葉には、納得。
アンティパストにありがちなサラダやカルパッチョ等の軽めのお料理よりは、グリルした野菜や魚介を使ったリゾットなどややしっかり目の食事に合いそうです。
■レッチョート・・・その上品な甘さに魅了される今宵
もう一つのソアヴェ、「レッチョート・ディ・ソアヴェ」を一口含むと、その味わいに思わず笑みがこぼれます。レッチョートはブドウをアパッシメント(陰干し)して造られる甘口ワインですが、その甘さは驚くほど上品。色は明るめの琥珀色で輝きに満ちています。洋ナシ、アーモンドに加え、アプリコット、オレンジピールのような香りがまた魅力です。
そして、このレッチョート・ディ・ソアヴェのポテンシャルはペアリングでさらに開花。羊の乳を原料としたチーズ、ペコリーノを合わせてみました。すると、レッチョートの甘さとペコリーノの塩味が絶妙のバランスで融合し、レッチョートだけで楽しむのとはガラリと表情を変え、ペコリーノの旨味を引き立てるのです。
ではでは、お次はチョコレート。甘いもの同士の組み合わせはいかに。
これが驚き。
チョコレートの甘さに勝るとも劣らないばかりか、レッチョートの甘さの奥にある甘酸っぱさ、おそらくブドウ本来の果実味と思われますが、それがグーンと前に来るのです。特に果実系を練り込んだチョコレートにはそのつながりが顕著であり、つい先ほど我が舌を通過したワインと同じものかと疑いたくなるくらい。
チーズやチョコレートなどと相性がいいのは当然で、レッチョートはデザートワインに分類され、食後に楽しむに最適なワインです。
もちろん食中でも遜色はなく、やや甘めに仕上げたバルサミコソースを使った料理や、火を通したリンゴを添えたポークソテーなどにも合うのではないでしょうか。
あれやこれやとペアリング大会を催しているとあっという間に1本空いてしまいました。そう甘口ワインはハーフボトル(375㎖)か500㎖瓶が一般的。もう少し飲みたいかも・・・そんなところで切り上げられてしまうレッチョートがまた小悪魔的で、一同その魅力に完全にノックアウト。
ちなみに、レッチョート・ディ・ソアヴェのスプマンテもあるそうですが、2~3生産者しか製造していない幻のワインだとか。いつかお目にかかってみたいものです。
11月の月間DOCGの2本「ソアヴェ・スーペリオーレ」「レッチョート・ディ・ソアヴェ」はこの時期にふさわしく、秋の夜長を豊かな時間に変えてくれる至極のワインでした。
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