エレガントで懐の深いバルバレスコ〜産地をめぐるワインつきマガジン「月刊DOCG」レビューVol.06
ピエモンテが生んだ”イタリアワインの女王”現る
2019.12.15
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「月刊DOCG」今回のレビューも、ワイン歴25年、新米ワインエキスパートのhassyが担当します。
先日、心待ちにしていたワインエキスパートの認定書とピンバッチが届きました。ピンバッチはお馴染みのブドウの房のモチーフで、上部には“Wine Expert“と刻まれています。飲食店等の経験が3年以上ある方は、ソムリエ試験を受けることができ、その場合の刻印は”Sommelier“となります。
ワインエキスパートとソムリエ試験は何が違うかといえばサービス実技の有無。知識を問う一次試験は共通です。実技試験(ティスティング)となる二次試験は、ワインエキスパートが白赤2種類ずつ計4種+ハードリカー1種、ソムリエは赤白いずれかから計3種+ハードリカー2種で、ワインの出題がソムリエの方が少ないという点は意外かもしれませんね。
なお、2019年のワインエキスパートの二次試験にはイタリアのサンジョベーゼ(Sangiovese)が、ソムリエ試験にはスペインのテンプラリーニョ(Tempranillo)が出題されました。無論、バルバレスコのような高級ワインは出ませんが、近年はニューワールドの隆盛なども受け、ヨーロッパならフランスよりイタリアやスペインが出題される傾向にあるようです。私のワインエキスパート話はこれくらいにして、本題へ。
■やや深みのあるガーネット色が美しい、まさにイタリアワインの女王「バルバレスコ」
今月の月間DOCGは、堂々と1本でのお届け。
生産者であるカルロ・ジャコーザ(CARLO GIACOSA)さん一家は、バルバレスコ村のほぼ中心に位置するワイナリー。規模こそ小さいものの、「バルバレスコファン垂涎の的であるアジリやオヴェッロをはじめ、界隈でも特に歴史のあるモンテフィーコなど、珠玉の畑を有している(月間DOCG本文より)」とか。
そんな素晴らしい畑から生まれたBarbaresco DOCG “MONTEFICO”は、ボトルの外観は重厚で男性的な印象を受けますが、ひと度グラスに注げばその深いガーネット色、輝き、適度な粘性といったバルバレスコらしい女性的な優美さが漂います。
香りは、赤い花のような、どこかスパイシーな、そしてキノコや濡れた落ち葉の香りのような複雑さがあります。もう、この時点でそこはかと無い品格を感じます。
ところが、それをいい意味で裏切る味わい。強い女性でも気高い女性でもなく、アタックはソフトで非常に上品。アルコール度数は14.5%とスティルワインでは高めですが、そんな一面をすっと潜めて、豊かな笑みを浮かべるイタリア女性を彷彿とさせます。
もちろん、美味しいのは当たり前。だけど彼女の魅力はもっと先にあったことを後で思い知ることになるのです。
■テロワールの極み、トリュフとの相性は最高!
今日は知人のレストランに無理を言い、このバルバレスコを持ち込ませていただきました。
何を合わせようか。このバルバレスコならどう仕上げてくれるのか。そんな思いが過ります。
まずは、地元産和牛ランプ肉のステーキをオーダー。芸がなさ過ぎると言われそうですが、スタンダードなグレービーソースのステーキが好相性。もう少し甘めのフルーツを使ったソースがいいのかも?と考えましたが、いやいやスタンダードなソースがむしろいい。
バルバレスコの程よいスパイシーさと緻密なタンニンが肉汁の旨味を際立たせ、料理にキレと奥行きを与えてくれているようでした。
さらにもう一つ、秘策アイテムを持参。バルバレスコ村がある北イタリア・ピエモンテ州の名産トリュフを混ぜ込んだチーズがそれ。
ペアリングの基本として「産地を合わせる」というのがありますが、ならば間違いないだろうと踏んでのことでした。
都合よくメニューには「ラクレットの石焼リゾット」の文字。たまたま今日はラクレットチーズがなく、代わりにカマンベールやブルーチーズ、チェダーチーズなどのミックスチーズへ変更とのこと。そんなハプニングも今日は大歓迎。こちらもチーズ持ち込みなのでミックス!ミックス!
テーブルにはチンチンに熱された石焼鍋がやってきて、まずはチーズソースとごはんを投入。さらにグツグツ言いながら溶けていくチーズたちをアドオン。ここでトリュフ入りチーズもイン!
最後にブラックペッパーを粗めに引いて完成。
これが大正解。熱を加えたトリュフは俄然本領を発揮し、香り豊かに。そこへ一口、バルバレスコをいただくと・・・。
Buono!
Molt Buono! Grazie Mille‼
知っているイタリア語をとりあえず叫びたくなりました。
そして、驚いたのは、その印象。少し、先のオーダーから時間が経過っていたこともあり、グラスに注ぎっぱなしになっていたバルバレスコは、ダレるどころかとてもチャーミングな印象に。香りは華やぎ、より滑らかな口当たりとほのかに感じるラズベリーのような果実味が広がります。
うわ、やられた!というのはこういうことでしょうか。
自然にデキャンタージュされた状態になったのでしょう。そして、やっぱりトリュフとの相性は抜群でした。私たちのテーブルだけ、超イタリア~ンな雰囲気になっていましたが、それくらい場の雰囲気を変えてしまう1本が今月のBarbaresco DOCG “MONTEFICO”です。
■栽培が難しいネッビオーロ
ちょっと落ち着いて、ブドウの話をしたいと思います。バルバレスコはご存じ通り、イタリアのブドウ品種「ネッビオーロ(Nebbiolo)」から造られます。
ネッビ(Nebbi)は霧という意味で、果実に付着している蝋分が霧のように見えることや、収穫時期に霧が発生することに由来します。
発芽時期が早いのに収穫時期は遅いため、熟すまでに時間がかかるなど、栽培が難しい品種と言われています。しかしながら、長期熟成にも耐え、高品質のワインを醸すことからイタリア系ブドウ品種の中でも知名度の高い品種。そして何より、このネッビオーロ100%で作ることが義務付けられているバルバレスコは、ネッビオーロの魅力を物語っています。
バルバレスコのおかげですっかり陽気なテンションで、お店を後にしました。今宵も夜風に背中を後押され、家路へと急ぐのでした。
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※通常、ワイン・食材等の持ち込みサービスは行っておりません。
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