円熟の秋の夜長には円熟のお酒、ウィスキーを。(後編・新世界ウィスキーと、ウィスキーアレンジあれこれ)〜林智裕の「ウチにおいでよ!」Vol.19

2019.12.18

海外の食文化

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『円熟の秋の夜長には~』なんてタイトルでお話しをはじめて、もうかれこれ三か月。すっかり冬になってしまったね。今年も残るところあと僅か。ウィスキーについて語っていたら、ちょっと長くなってしまった。( ;∀;)

ウィスキー特集のラストである今回は、新世界ウィスキーと、ウィスキーアレンジあれこれの楽しみ方。実はいま、世界的には結構ウィスキーがブームになってきているみたいでね。全く新しい地域でのウィスキーや、閉鎖されていたかつての蒸留所が再び製品を造ったりのウィスキーがデビューしはじめてきてるんだよ?

前回までお話したウィスキーは、結構メジャーで知っている人も多いかもだけど、今回のはどうかな? ボクも、最近初めて飲んだものなんかをいくつか挙げてみるね。(*´▽`*)

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まず最初に紹介するのはコレ。グレングラッサ・リバイバル(GLENGLASSAUGH REVIVAL)。スコットランド、ハイランド地方のシングルモルトだよ。

グレングラッサ蒸留所は1875年の創業。海沿いに近く、ハイランドとスペイサイドとにまたがる立地の蒸留所で、アイランドを感じさせる海沿いの気配にスペイサイドのようなまろやかなバランス良い香り、ハイランドの力強さを併せ持つような豊かな味わい。かつてはブレンデッドウィスキーの原酒としても、スコットランドで最もポピュラーに飲まれているフェイマスグラウス(The Famous Grouse)や世界中で愛されているカティサーク(Cutty Sark)に使われていたのだとか。

ところが、この蒸留所は1986年に操業を停止。遺されたウィスキーは高値で取引される「幻のウィスキー」になっていたのでした。

その後、近年のウィスキーブームの世界的な復権にともなって約22年後の2008年に、新オーナーの元で奇蹟的な復活を果たした蒸留所! なのです。

2008年なんて、ホントつい最近…と思ったら、もう干支一回りくらい昔なんだね。ボクも歳をとるはz……や、でも最近だよね。うん、ウィスキーの熟成年数的な意味では12年はまだまだ最近…最近。。。( ;∀;)

それはともあれ。でも本当に、スコッチウィスキーの熟成期間を考えたら蒸留再開からまだ満12年にもなっていないというのはまだ熟成が浅い部類。しかし、このグレングラッサは、口に含むと良い意味で「若さ」を感じさせない驚きの仕上がり。

バニラのような香りと少し柑橘の甘さを感じさせる風味。年数のわりに色合いも濃く、刺々しさがなく穏やかな口当たり。これは、想像以上にレベルが高い。さすが、休眠していた蒸留所を復活させてまで造ったウィスキー。造りに妥協の無さと「本気」が満ち溢れているね。今後がますます楽しみになる注目株かも。

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続いては、こちらのウィスキー「ムーンハーバーピア1」(MOON HARBOUR PIER1)。ワインで有名なフランス・ボルドー産のウィスキーで、こちらも2015年から蒸留が開始されたばかりの新しい蒸留所だよ。ボルドーのテロワールにこだわり、オー・メドック地区で作られた大麦を原料にしているんだって。ボクも今回、初めて知ったウィスキー。

今発売されているものはスコットランドから輸入した原酒をブレンドしてボルドーワインの樽で熟成させたもので、この「ピア1」は貴腐ワインでも知られるソーテルヌの白ワイン樽を使っているんだって。確かに、ソーテルヌ「らしさ」のあるような甘く香り立つ風味がウィスキーと不思議なマッチングをして、絶妙の味わい。

今後は原酒も順次、全てボルドー産100%に切り替えていくのだとか。ボルドーがワインだけでなく、ウィスキーでも知られる日が来る予感がするね。

あと、同じヨーロッパでもこちらは北欧スウェーデンから「ハイコースト・ハヴ」(HIGH COAST HAV)。「HAV」というのはスウェーデン語で「海」という意味みたい。

こちらのウィスキーもまだ熟成期間は若いものだけど、フランスの滑らかさと対照的に、北欧の冷涼な気候を思わせる雄々しさみたいなのを感じさせるね。ややスパイシーで個性を感じさせる味わい。バーボン樽を使ってるみたいだから、その風味とのマッチングで魅力がさらに引き立てられている感じもするよ。

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そして、最近「新世界ウィスキー」として評価が急上昇してきているのが「台湾ウィスキー」。

去年の記事でもとりあげたこの「カヴァラン」(KAVALAN)、そして南投(ナントウ)蒸留所の「オマー」(OMAR)。それぞれ、操業開始が2006年と2010年という新しい蒸留所なのだけど、これがどっちも、かなり美味しい。

ボクがカヴァランを初めて知ったのは2010年夏に台湾に遊びに行ったときで。その時は操業開始から間もなくのせいか飲んでもそこまで強い印象残らなかったものの、その後2017年に改めて飲んだらちょっとビックリするくらい美味しくなってて、お土産に買ってきちゃったんだよね。

その強いギャップを感じたときにも思ったんだけど、台湾ウィスキーは数年の熟成で随分と風味が変わるような印象。熟成感を得られるようになるまでが早い? …というかより正確には、味と言う以上に、香りがキーポイントかも知れない。

熟成の中でも樽の味わいだけが極端に突出して強いというか、比較的若いウィスキーにも木香が強く感じられて少しビックリする。ここまで強い樽の風味や色が付いたものは、他の地域ではもっと長い年月が必要になるからね。その意外性、アンバランスさが台湾ウィスキーの魅力を一気に引き立てて、個性になってる感じ? 暖かい気候だから樽からのエキスが早く出てくるとか、あるのかな?

つまり、ボク個人の感覚で言えばタイワニーズ・ウィスキーの特徴は『スコッチのアイラ島ウィスキーがピート(泥炭)由来の燻製香が強いのに似た個性を、熟成樽由来の木香で出している』という感覚がする。これはもう、「世界5大ウィスキー」はいずれ台湾を加えて「6大ウィスキー」になっても不思議ではないくらいにレベルも高いし、特徴があると言えるんじゃないかなー。

そんな台湾ウィスキーの個性を生かした飲み方は、原酒をストレートで楽しむのがおすすめかな。

樽の木香の強さを特に強く生かせるし、高いアルコール度数ならではの甘さにも似た飲み口が絡むことでタイワニーズ・ウィスキーの魅力がより引き立つから、やってみてね?

ちょっと度数高すぎて苦しい?

まあ、無理はしない程度に。でもちょっぴり嘗めてみるだけでも美味しいよー?(∩´∀`)∩

 

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…と、ウィスキーの飲み方についてお話した流れで、いろんな飲み方を試していってみよっか。ウィスキーは飲み方ひとつで表情がかなり変わるお酒。同じウィスキーでも、いろんな魅力を同時に味わえるんだよ?

①ストレート

たった今、台湾ウィスキーの飲み方でもオススメしたストレート。ウィスキーの本場、スコットランドのパブなどでもこの飲み方がもっともポピュラーみたいだね。

お酒の香りや味わいが非常に強く、良くも悪くもそのウィスキーが持っている持ち味の全てがダイレクトに響いてくる飲み方。ウィスキーごとの味の差も明確に判りやすいのです。…なので、特に品質が高いウィスキーや熟成が長いもの、繊細な味わいを持つものほど、その個性を愉しみやすいかな。上等な原酒(出荷時に水を加えていないウィスキー。60%前後の度数のものも多い)なども、これを基本に楽しんでみるのが良いかも。

②トワイスアップ

ストレートのウィスキーに、常温の水を加えて1:1にして飲む愉しみ方。

アルコールの強さならではの甘味に近い感覚を弱め、温度による影響も減らし、そのウィスキーがもつ芳香を純粋に引き出す飲み方。香りの違いが判りやすくなるため、ウィスキーをブレンドするときなどにも良く使われると言われるね。グラスはブランデーグラスや専用のトワイスアップグラスのように、チューリップの蕾みたいに口が小さく底が広がっているようなものを使うことで、立ち昇る香りがより集中させるようになるんだよ。

 

③ロック

オンザロック。氷でウィスキーを割る飲み方。バーなどでは、まんまるに削った氷が主流だね。氷が丸いと、よりゆっくり融けてくれるのだとか。

この飲み方は、ウィスキーをキンキンに冷やして味わいを凛と引き締めてくれるもの。できればグラスを事前に冷やしておくとベストだね。

この飲み方だとアルコールのキツさがだいぶ柔らかくなって穏やかに。その一方で、キリっと引き締まった口当たりが心地よく、氷が融けていくのと共に変わる味わいをゆっくり愉しむことが出来るんだよね。

香りはストレートに比べると少し控えめになるものの、元々香りが豊かなウィスキーを贅沢に使うとね、ちゃんと香りもきちんと感じられるままにロックならではの心地よい飲み口も同時に味わえるのです。個人的には、バランタイン21年とか17年とかをコレで飲むのが、ボクの昔からの愉しみ。(*´▽`*)

ロックには、他にも種類があって、通常のロックに水を加えてより柔らかさを強めた「ハーフロック」、クラッシュした氷でより爽快感を楽しむ「ミスト」なんていう楽しみ方もあるよ。

④水割り

日本では昔からお馴染みの水割り。お酒があまり強くない人や、長く飲み続けるときにオススメ。ウィスキーの風味や香りを、ゆっくりと楽しめる飲み方で、クセの無い穏やかなウィスキーが良く似合うかな。日本で長年親しまれてきたこの飲み方は、ジャパニーズウィスキーとの相性もバッチリ。身体にも優しい飲み方だね。

⑤ハイボール

これも水割りの応用みたいな感じで、水の代わりに炭酸を加えることでより爽快感がアップした飲み方。日本では昔流行った飲み方であったものの、ここ15年くらいの間に再ブームが起こって、すっかり定着した飲み方だね。

同じく日本のウィスキーとの相性が良いものの、水割りと違うところは「スモーキーな風味との相性がかなり良い」というところかな。どんなウィスキーでも合わせられるものの、爽快感を邪魔しない穏やかな口当たりのウィスキーがおすすめ。それでいて、炭酸によって香りや味の個性が華やかに際立つので、同時にスモーキーさが強いブランドを合わせてあげるとなかなかに絶品!なのです。

これは日本のクラフトウィスキーには得意とするブランドも結構あって、ローソンで限定発売されているこの沖縄県のヘリオス酒造「暦」や、富山県の若鶴酒造が特に面白いかな。特に、「HARRY CRANES Craft Highball」は個性際立つ爽快感があって一度は飲んでもらいたいかも。

⑥蜂蜜酒割り

最後に、もう一つおすすめするのが「蜂蜜酒(ミード)割り」

蜂蜜酒というのは、その名の通り蜂蜜から造られているお酒で、世界最古の酒とも言われているのだとか、ハネムーンの語源にもなっているのだとか??

蜂蜜の甘さが残ったままに、サラリとした上品な香りが漂うお酒で、近年静かなブームになってきているという話も。

蜂蜜とウィスキーの相性の良さについては、実は「ハニーウィスキー」で検索しただけでもこれだけ出てくるくらいに、すでに製品として合わせてあるようなものも沢山。折り紙付きなのです。

 

ただでさえウィスキーとは相性が良い蜂蜜。贅沢にもただの蜂蜜ではなく、蜂蜜酒を合わせてしまうと、さらに味わいが面白くなるんだよー。(*´▽`*)

今回は、ボクにとっては日本酒でもおなじみの会津喜多方の峰の雪酒造場さんの「会津ミード花織」を使用。ちょっと贅沢な飲み方ではあるけど、ぜひいちど試してみてね。

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さて、3ヶ月にもわたってウィスキーのこといっぱい話してきたけど、どうだった? ちょっぴり駆け足気味だったけど、ウィスキーのことも好きになってもらえたら嬉しいな。

ボクは、『お酒は人を幸せにするためにある』というのがポリシーなので、かなり自由に楽しんじゃうんだよね。

だから他に、これも楽しみ方の一つとして、お気に入りのウィスキーをブレンドして自分のオリジナルブレンデッドウィスキーを造っちゃうなんていう遊び方も。

敷居が高いなんて思われがちなウィスキーだけど、楽しまなきゃソン!でしょ? せっかく世界的にもブームが来ているんだから、なおさら。

ではでは、年明けからはまた日本酒中心のお話に戻ろうと思います。今年も沢山遊びにきてくれてありがとね。また来年!

よいクリスマス&お年を~!( *´艸`)

林 智裕 (Hayashi Tomohiro)

フリーランスライター。1979年生まれ。いわき市出身、福島市育ち。 現在 【Media Rocket】の他、福島の美酒と美肴のマリアージュを毎月お届けする【fukunomo(ふくのも)】、地域の魅力やグルメ情報を発信する【福島TRIP】など複数メディアにて連載中。 また、【SYNODOS (シノドス)】【ダイヤモンドオンライン】【Wedge】【現代ビジネス】などでは不定期でビジネス向けの記事を執筆。 書籍『福島第一原発廃炉図鑑』(開沼博・編、太田出版)ではコラムの執筆を担当。

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