甘口ワインは「家飲み」をグレードアップする秘密兵器だ〜「ラザグレン・マスカット」レビュー

デザートがぐんと美味しくなる甘口ワイン

2020.03.13

海外の食文化 ワイン

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■これから来る?「食後酒を飲む」という文化

こんにちは、熊坂仁美です。

最近、手軽にいいワインが手に入るようになったおかげで、まわりでもワインを飲む人が増えました。私自身も今はワインが面白くて、どっぷりハマっています。

なぜハマるのか。ワインや日本酒(=醸造酒)は単なるアルコール飲料ではなく、長い歴史の中で培われてきた「文化」なんですよね。だから深いんです。ビールや焼酎も美味しいけれど、そこがちょっと違う。「ワインを飲む」ということはすなわち「ワイン文化を楽しむこと」だと思っています。

ワイン文化では、食前酒、食中酒、食後酒を分ける、というのがひとつあります。日本でも食前酒にスパークリング、食中酒に白、赤の順番でワインを飲む、という飲み方が当たり前になりましたが、食事が終わった後に別のお酒を飲んでシメる、という食後酒の文化はまだまだ根付いているとは言えません。

でも個人的には、次に定着するのは「食後酒」の文化ではないかと思っています。

食後酒にも2パターンあって、ひとつはディナーが終わったあとバーなどに場所を移し、ウイスキーやブランデー、カクテルなどを飲んで夜更けまで楽しむというパターン。

もうひとつはもっとライトに、ディナーの最後のデザートを甘口ワインとともに飲んでしめる、というパターン。最近はやりのペアリングディナーでは、コース料理の最後にデザートとともに出てくるのがコーヒー、紅茶ではなく、甘口ワインだったりします。

甘いデザートに甘いワイン?「甘×甘」でキツそう!と一瞬思うのですが、これにはちゃんと理由があって、ペアリングでは「料理に甘みがある場合はそれより甘いワインを合わせる」というのが原則なのです。普通の辛口ワインだとワインの酸味がきつく感じられてフードの味も殺してしまいます。逆に甘口ワインとともに食べるデザートは美味しさを増幅させてくれます。

先日、とあるレストランのペアリングコースでは、デザートとともにスペインの酒精強化ワイン「マデイラ」酒が出てきました。

ナッツのニュアンスがあるマデイラ酒と、クラッシュしたナッツとラズベリーソースをかけたビターなチョコレートケーキ。美味しかった〜。

こんなふうに、ソムリエがいるレストランだと、デザートと食後酒をペアリングしてくれるので、コーヒーとともに飲むよりも、よりデザートを楽しめるんです。

カロリー的に気にならないと言えば嘘ですが、甘口ワインはそんなに量が必要なく、グラスにほんのちょっとで十分。それでも気になる場合はデザートを少し残しても甘口ワインを一緒に飲むほうがディナーのパフォーマンスが上がると思います。

■「酒精強化ワイン」とは?

さて、甘口ワインというと、代表格はフランス・ソーテルヌ産が有名な「貴腐ワイン」そして前述のマデイラのような「酒精強化ワイン」です。

両方とも、糖を添加して甘くしているわけではなく、貴腐ワインの場合は栽培の過程で、酒精強化ワインの場合は醸造の過程で「ブドウの甘さを引き出し、糖度を残している」ために甘いのです。つまり工業的な甘さではなくナチュラルな甘さなんです。

貴腐ワインは美味しくて私も大好きなのですが、ひとつ難点があります。気候的条件が揃わないとできないため、お高いんです。一方、酒精強化はワインの醸造過程でアルコールを添加して度数を上げてつくるので、普通のワインとプロセスはそうは変わらずリーズナブル。しかもアルコール度数があるので開封しても日持ちします。「シェリー」「マデイラ」「ポート」などが有名です。

酒精強化ワインは英語では「フォーティファイドワイン」と言いますが、そっちのほうがカッコいいのでこれから「フォーティファイド」と呼ぶことにします。

「デザートとともにフォーティファイドを飲む」。

食好き、ワイン好きの粋な飲み方だと思います。

■オーストラリアの老舗ワイナリーがつくるフォーティファイド

さて、なぜ急にフォーティファイドについて書いているかというと、先日、酒精強化ワインを専門に輸入している起業家の方から連絡があり、ぜひ、ウチの商品を飲んでレビューを書いて欲しいというご依頼があったからです。ワインレビューを書くようになってから、最近よくそんなふうにお声をかけていただいて、ありがたい限りです。でも、年末に身体を壊してしまったため、今はあまり飲めない。だからレビューをさせていただくのは個人的に面白いと思ったワインに限らせていただいております。

聞けば会社の名前はズバリ「Fortify株式会社」。よほど「フォーティファイド愛」がある方なんだろうと強い興味を持ちました。

さらに聞くと、輸入しているのはシェリーでもマデイラでもポートでもなく、「ラザグレン」というオーストラリアのフォーティファイドのみなんだそう。この特化ぶりがすごいですね。

「ラザグレン」。耳慣れない方も多いと思いますが、ニューワールドの酒精強化ワインとして注目をされていて、ワインの試験では「頻出項目」として覚えました。ラザグレンという名前は地名から来ていて、オーストラリアの東南端、ビクトリア州でつくられています。

Fortifyさんから送られてきたのは、「ラザグレン・マスカット」。私たちおなじみの、あのマスカットからつくられたワインです。

そしてなんとこのワイン、先日のサクラアワードで特別賞グランプリ「フォーティファイドワイン賞」、ダイアモンドトロフィー、ダブルゴールドを受賞したというのです。(サクラアワードは女性審査委員が選ぶワインコンテスト)

初出品でいきなり三冠。もうこれは「フォーティファイド界の新星」と言っていいのではないでしょうか。

そこで興味を持つのはいったいどんな作り手なんだろう、ということです。

「ラザグレン・マスカット」の生産者はヴィクトリア州ラザグレンで代々家族経営の「スタントン&キリーン」。イギリスにルーツを持つスタントン一家の家族経営で、ビクトリア州がゴールドラッシュに湧いた後、1864年から、なんと145年の歴史があるワイナリーで、今は7代目のウェンディー・キリーン氏が運営しているとのこと。ニューワールドだから最近なのでは、というイメージがありましたが、とんでもなかったですね。日本の酒蔵でも145年というのはなかなかないです。新星どころかバリバリの老舗でした。

こちらでは上質なスティルワインも作っていますが、あくまでフォーティファイドが主軸。ポルトガル原産のブドウ品種にこだわり、樽熟成やビンテージポートなどのポートスタイルを得意としているとのこと。

ウエンディーさん、こんな方です(右側)

隣は娘のナターシャさん。なんて素敵な親子!

ワイナリーの雰囲気を知りたくてインスタで捜したら、ありました。歴史を感じさせる、かなりいい感じのワイナリーです。

イベントもよく開催しているらしく、インスタストーリーには写真や動画がたくさん。はじけてますねー。めっちゃ楽しそう。

 

■サクラアワード三冠のフォーティファイドをテイスティング!

さて、下調べをし終わったところでワインが届きました。

アルコール度数は18度。スティルワインがだいたい14度、日本酒が16度ぐらいが平均なので。ちょっと強い日本酒ぐらい。食後酒は小さなグラス1杯程度を少しづつ飲む感じなので、割らずにそのまま飲むのが一番いいと思います。

さっそくテイスティングしてみます。

外観はきれいな琥珀色。

いい香りです。スティルワイン(辛口ワイン)にはない、果実の甘みを残したフォーティファイドならではの華やかな香りです。オレンジ、レーズンなどフルーツの香りもしますが、むしろエレガントな花の香りが中心。私はバラの香りを一番感じました。ほんのり紅茶の香りも。

ずっとグラスに鼻を近づけていたいぐらいアロマティックなワインです。

味わいは、甘口なのでまず甘さが来ますが、そこに酸味が隠れていてバランスを取っています。ほのかにチョコレート、カラメルを感じます。

このワインそのものがデザートなんですが、チョコレート、フルーツの要素を入れたプレートとか、カラメルをかけたプリンなんかと一緒に飲んだら相乗効果でかなり美味しいはず。チョコレートだったらオレンジピールとか、フランボワーズとか絶対合いますねー。コンビニで買えるシンプルなチョコレートでもこのワインと一緒に飲んだら高級チョコレートの味わいになるはず。

試しにコンビニで調達した「チロルチョコ」(笑)と一緒に飲んでみました。

思った通り、びっくりするほど合いました。口の中の幸せ感がハンパない。

チロルチョコでこんなに幸せになれるとは・・・これぞペアリングマジック。

 

一粒のチョコレートと一口のラザグレン・マスカット。

家でワインで食事をしてデザートがないときなど、これだけでシメになり、食事の満足度がぐんと上がります。

 

家飲みをグレードアップしてくれる食後酒としての甘口ワイン。

その代表選手のフォーティファイド。

これからスイーツ好きを中心に愛飲されていくと私は思っています。

 

「マスカット・ラザグレン」、サクラアワード受賞記念でインスタキャンペーンをやっているようです。

https://fortify.co.jp/pages/campaign_sakura

 

Hitomi Kumasaka (熊坂 仁美)

ワインと日本酒が大好き。WSET Level3 in Wine, Level3 in Sake(英語)JSAワインエキスパート. SAKE DIPLOMA。 https://kumasakahitomi.com/

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